子どもが感染したら…と不安になる

Q8.学校からはできるだけ家の中にいるように指示が出ています。子どもが成長期にこのように、室内ばかりで過ごしていることに不安を感じます。外で遊んでもいいのでしょうか。その際、気を付けることはありますか。

A.感染対策は重要ですが、可能な範囲で通常の日常生活を続けることは、子どもの成長や発達には不可欠です。ただし、室内で密集して大人数で遊ぶのは避けたほうがいいと思います。

 屋外であれば室内に比べてリスクは大きく下がります。一方、一緒に遊ぶ人の数が増えれば増えるほど感染のリスクは高まるといえます。ただ、過度に恐れる必要はありません。

 安心して遊べるようにするためには、まず、症状がある場合には十分家で休むことを徹底することが大事です。症状がある人が無理をしないことは、感染が広がる可能性を下げることにつながります。一方、感染をゼロにしようとするあまり、大人が子どもたちを過度に監視するのも好ましくありません。

Q9.皆マスクをつけていますが、マスクは必要性が薄いというニュースもあります。今回の新型コロナウイルスにマスクは有効ですか?

A.くしゃみやせきに含まれる飛まつを直接浴びる可能性があるような状況でなければ、新型コロナウイルスに限らず、マスクの有効性は特にありません。

 マスクとは、症状が少しあるときに「他の方にうつさない」ために使うものです。医療従事者や飛まつを浴びるような状態のときにも、有効です。

 子どもの患者のほとんどは、家庭内において親から感染していますので、保護者が感染しないこと、感染した人から1~2メートル以上の距離を保つことがお子さんの感染予防につながります。

Q10.子どもが感染してしまったらどうしようと不安になるときがありますが、そんなときにうまく親として気持ちを落ち着かせる方法があれば知りたいです。

A.子どもが夜中にせきをコホンと一回でもすれば心配になるものです。不安な気持ちを無理やり抑える必要はありません。正しい情報(子どもは重症化はしないなど)に触れることで、不安や心配はおのずと減ってくるのではないかと思います。

 感染することへの不安の他に、感染した場合の、社会への影響(差別など)を心配している人もいると思います。ウイルス感染症は、さまざまな場所からうつります。感染したくて感染するのではないにもかかわらず、感染した瞬間に加害者のように扱われる場合があります。

 現状の対策がうまくいき、封じ込めや感染拡大のピークが下がれば最良ですが、今後リスクがゼロとなることはないと思います。つまり、いつ身近に起きてもおかしくなく、その場合、身近な人がどのように扱われたいかを想像してみましょう。感染者に対して十分な配慮ができる社会(症状がある場合、仕事を休めるなどの環境作りの推進)になれば、皆の不安も減ると考えます。

 最後に、コロナウイルスには抗菌薬は効きません。これを機に、正しい知識が広がっていくことを期待します。

 *この記事の内容は3月11日時点の情報に基づいています。

 *アップデート版記事はこちら。続・新型コロナ10の質問 親がいま知りたいこと

この記事の関連リンク

■厚労省「家庭内でご注意いただきたいこと 8つのポイント」https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf

■AMR臨床リファレンスセンターのウイルスと細菌の違いが分かるサイト
http://amr.ncgm.go.jp/general/1-1-2.html

松永展明(まつなが のぶあき)
小児科専門医、周産期新生児専門医、感染症専門医
2003年順天堂大学医学部卒、大学病院・市中病院にて小児・新生児・感染症診療に従事。2017年からAMR臨床リファレンスセンター勤務。病院・高齢者施設・ワンヘルスの観点から、サーベイランスやWebサイトを構築し、薬剤耐性菌対策にかかる情報の見える化に取り組んでいる。​

(文/阿真京子)