無症状で他者にうつすってどういうこと?

Q3.検査の有用性や意義を知りたいです。どの程度で検査の依頼をするのか、また陽性でも軽度であった場合、どう過ごしたらよいか、知りたいです。

A.現在はPCR検査が行われています。感度(真の陽性者を陽性と正しく判定できる確率)は、現時点でははっきり分かっていません。一般的に、ある量以上のウイルスでないと捉えられないので(検出限界)、結果が100%ではないことは知っておいたほうがよいと思います。

 どの程度で検査するかというと、厚生労働省の基準(37.5度以上で4日間の発熱等)にのっとります。規定の症状に、先程述べた医師の見立て(検査前確率といいます)を含めて検査の必要性を判断するのが最良です。つまり、37.5度以上で4日間の発熱を満たしていても即検査ではありません。小児科医は新型コロナウイルス以外の他のたくさんの病気を想定しながら診察しています。専門の先生の意見に耳を傾け、検査の判断をすることが必要です。

 新型コロナウイルスが陽性になった場合、現時点では入院となっていますが、今後基準は変わるかもしれません。重ねてお伝えしますが、陽性で軽症であった場合には対症療法といって十分な経過観察をするだけで、現時点では特別の治療はしません。

 十分な休養がまず必要です。その次に、他の方にうつさないよう配慮をすることが必要です。

Q4.無症状の人の感染があるようですが、他にもそういう病気はありますか。普通は感染症というのは症状があるから人にうつすと思っていたため、想像がつきません。具体的に無症状で他者にうつすことが立証されたのはどういう経緯ですか?

A.無症状でもウイルスを持っている場合はあります。喉にウイルスが入ってくると、ウイルスに感染したといいます。しかし、初期ですと、ウイルスがいても症状が出ず、検査で陰性になることがあります。

 最後までウイルスを少量で封じ込めてしまえば、そのまま症状が出ないことや、軽い症状で終わる場合もあります。それが無症状(軽度の症状)の感染といっている理由です。また、子どもだと「だるい」という言葉を知らずに「症状がない」と判断されることもあるでしょう。

 ウイルス感染症は、症状がなくても他者にうつすことがあります。しかし、上記の通り、明らかに症状のある方に比して、ウイルスの量が少ないため、一般的にはうつす力が弱いと考えていいと思います。

 通常は症状のない人に検査をしないので、感染力があるかどうかは確認されません。しかし、今回は濃厚接触者(無症状者)にも検査をした場合がありました。その人の行動をさかのぼって確認したところ(疫学調査といいます)、周囲で陽性になった人がいたため立証された経緯と考えます。

Q5.親は毎日通勤しているので、感染する可能性が高いと思うのですが、家族に感染しないために家ですべきこと、注意すべきことがあれば教えてください。

A.帰宅時に手を洗い、ウイルスを家に持ち込まないことが大切です。混雑している交通機関で不特定多数の人と密接した空間を共有するとリスクが上がるため、マスクをするなども必要です。しかし現在、時差通勤などが勧められており、車内がそれほど混雑していないのであれば、必要以上に恐れる必要はないと考えます。うつさないという意味では、体調不良時しっかり休むことやマスク、せきエチケットの配慮が必要です。

 不特定多数が触れるものを触った手で鼻や口、目に触れると、粘膜から感染することがあるので気を付けてください。手洗いではせっけんを使いましょう。現時点ではっきりとした根拠のある環境関連の対策は、適切な環境清拭です。二酸化塩素水などによる空気感染予防などの機器などもありますが、高額なお金をかける必要はないと考えます。

Q6.娘は以前、肺炎にかかったことがあり、ぜんそく・アレルギー持ちなのですが、万が一感染した場合に悪化することはありますか?

A.一般的に、小児ぜんそくなどの合併症を持っている子どもの呼吸器感染症は重症化する可能性があるといわれています。呼吸器疾患を持っている場合は、十分に注意が必要です。

Q7.食べ物について聞きたいです。サラダや生ものは避けたほうがいいなど何か気を付けるべきことはありますか?

A.現時点で、新型コロナウイルス感染症が食べ物から感染することは証明されていません。

 食中毒を起こす感染症(病原性大腸菌感染症、サルモネラ感染症など)を予防するために、サラダはしっかり洗うこと、生ものは年齢に応じて摂取するなど、通常通りの対応が必要です。

 また、現時点では食品で効果を認めたものはありません。この食品に効果がある、という宣伝を見たら、正しい情報かどうかをまず考えてください。