一斉休校中は家の中で過ごすことが多いため、子どもの運動不足が心配になります。日中の食事やおやつをどうするかも、悩ましいですよね。そこで子どもの過ごし方や食事について、東京家政学院大学教授の原光彦さん(小児科医)に聞きました。原さんは、2009年の新型インフルエンザ流行時に、都立広尾病院の小児科部長として診療にあたった経験があります。当時の教訓から、原さんがママ・パパに知っておいてほしいことをまずお伝えします。
*この記事の内容は3月6日時点の情報に基づいています。

 こまめな手洗いやせきエチケットなどの対策をして気をつけていても、子どもに発熱やせきなどの症状が少しでもあると「新型コロナかも…」と心配になるでしょう。しかし東京家政学院大学教授の原光彦さんは「あちこちの病院を巡るのは絶対にやめてほしい」と指摘します。

 「2009年の新型インフルエンザの流行時、『新型インフルが心配だから検査をしてくれ』と大勢の方がつめかけました。そして検査結果が陰性だと納得せず、同日に違う医療機関を次々に受診する方が大勢いました。そうした行為は、患者さんにとっても、医療機関にとっても不幸な事態を招いてしまいます

 理由としては2つあります。1つ目は、医療機関のはしごをしている間に、待合室などで感染してしまう危険性があるということです。医療機関の待合室はいろんな症状を抱える人が集まる所ですから、新型コロナウイルスをはじめ、さまざまな病原体に接触する危険性が増します。

 さらに、医療機関のはしごをすると症状の経過を追えませんから、重症化の判断の遅れにもつながります。

 2つ目は、現時点では、新型コロナウイルスに対して明らかに有効な治療薬がないということです。コロナウイルスは、風邪の原因ウイルスの一つとして知られており、通常のコロナウイルスによる風邪は、自宅で静養していれば3~4日で軽快します。

 そしてPCR検査は、有効な治療薬のない現時点では、患者さんにとって必要不可欠なものではありません。一般にウイルスの迅速検査は、採取した鼻汁や喉の粘液のウイルスの量や、発症してからの日数、採取した部位(鼻・喉など)などで結果が左右されます。現時点では、PCR検査は肺炎の患者さんの中で医師が新型コロナウイルス感染症を強く疑った場合に行われます。たとえ、濃厚接触者に風邪症状が生じPCR検査で陽性と判明しても、従来のウイルス性肺炎と同じ対症療法を行うことになります」