怪しい人の見分け方を子に教えよう。親は地域をパトロールして

 休校中は犯罪にもいつもよりさらに気を付けてほしいと清永さんは話します。「もともと暖かくなる春先は、犯罪が増える時期です。しかも、休校によってPTAや地区のパトロールがなくなり、地域の見回りも取りやめになるなどしています。地域の防犯力が弱くなった中を子どもたちは、普段よりも小さな集団や1人で移動しているので、そのすきを突いて、犯罪を起こそうとする人が出てくることが考えられます

 「学童の行き帰りや公園、家の近くでじっと見ている人やしつこく話しかけてきたり、ついてきたりする人がいたら、すぐに親や周りの大人に言うように子どもに話しておきましょう。親は警察や学校に相談してください。怪しい人の見分け方もこの機会に復習しておくといいですね」。清永さんは下記のような「はちみつじまん」という標語を作成し、防犯教室などで伝えています。参考にするとよいでしょう。

怪しい人の五つの特徴  「はちみつじまん」

1.しつこくなにかと「は」なしかける
2.理由もないのに「ち」かづいてくる
3.あなたが来るのを道のはしや車のかげで じっと「み」つめてくる
4.いつまでもどこまでも「つ」いてくる
5.あなたがくるのを「じ」っと「ま」っている
6.こういう人に会ったら「ん?」と注意

 犯罪を起こそうとしている人は、人の目を嫌います。親は通勤途中や子どもの送り迎え、買い物の際にできる「瞬間パトロール」で、地域の防犯力を高め、犯罪の前兆をつかむことが大切です。「気になることがあれば、地域やPTAで共有しましょう。緊急性があると思ったら110番に連絡をしてもよいです。そこまでではないかもと思ったら、地域の警察署や♯9110番(警察相談専用電話)に連絡するとよいでしょう」

「瞬間パトロール」の方法

・通勤途中など日常生活の範囲内で、地域の様子を見る。
・街に変わったことが起きていないか、アンテナを立てて見る。
・困っていそうな子、遅い時間に街を歩いている子がいたら声をかける。
・怪しい人がいたら、安全な距離を確保したうえで、二度見する。

 今は社会不安が高まり、大人でも不安感からイライラしたり、ストレスを抱えたりしています。内にこもったエネルギーは、家庭内で爆発する恐れがあります。そのため、清永さんは、今後親から子への虐待が起こってくるのではと心配しています。「新型コロナウイルスの感染を予防することはとても大切です。その際に、必要以上に警戒することの弊害は、親子にとって非常に大きいです。予防のための正しい知識を得て、それ以外はできるだけ普段通りの生活を送るように心掛けることが、子どもの安心感や安全につながるでしょう」

取材・文/福本千秋(日経DUAL編集部) イメージ写真/PIXTA