元のペースに戻そうかと思っても、子どもの変化には気を付けて

 親の状況にも変化が出てきます。「最初は緊張感や社会的なプレッシャーがあるので、子どもを優先できるかもしれません。しかし10日間くらいたつと次第に、『留守番させても大丈夫そう』と安心したり、『これ以上仕事を犠牲にできない』と働き方を元のペースに戻すこともあると思います。留守番に慣れてくると大丈夫そうに見えるかもしれませんが、子どもは不安やストレスを抱えています。この時期もゆったりとした気持ちで子どもをよく見て、子どもに変化がないか気を付けてあげましょう」

 子どもの変化に気づくには、家族で何かを楽しむ時間を持つことがよいそうです。「短時間でもいいので、トランプやボードゲーム、卓球、バドミントンなど向かい合ってできる遊びをしてみるといいですね。遊びながらだと、『そういえば学童でこんなことを言われて悲しかった』といった本音がぽろっと出てきます。それによって子ども同士のいさかいや事件の前兆などをキャッチできるので、大きなトラブルになる前に対応できるでしょう」

 高学年になるとネットのトラブルも心配です。「スマートホンやタブレットを使わせている場合は、休みの間にSNSやネットゲームを通して新しい交友関係が生まれている可能性があります。SNSでは悪意のある人がこんな風に近づいてくるという具体例を教えておくことが大切です」(参考記事:SNSに潜む悪は子の心の隙間を狙っている

休校中の子どもとの接し方

・ゆったりとした気持ちで子どもをよく見る。
・親子で向き合って遊び、本音を話しやすい雰囲気をつくる。

気を付けたい子どもの様子
・休みの間、子どもがどういう行動を取っているか。これまでと違う行動はないか。
・新しい遊びの空間、新しい交友関係(SNS・ゲームなどネットも含む)に行っていないか。
・子どもの身の回りにトラブルの前兆はないか。

休校からの時期と子どもと親の状況

休校から10日目くらい
・子どもの状況:状況への不安感があるが、緊張感もあり、生活リズムを守ろうとする。

・親の状況:できるだけ子どもを優先する。子どもは安心感を得やすい。

10日目から13日目くらい
子どもに変化が出たり、トラブルの予兆が出たりしやすい=グレーゾーンの時期

・子どもの状況:緊張感を保てなくなり、制約のある生活に我慢ができなくなってくる。不安感もある。
抑圧されたエネルギーを発散させようと、子ども同士のいじめや嫌がらせ、SNSトラブルの予兆が起こる。
年齢が上がると居場所を求めて繁華街に出ていくようになり、ゲームセンターやカラオケなどでのトラブルも起き出す。

・親の状況:留守番をさせても大丈夫そうだと思い、働き方など元の生活に戻す人も出てくる。そのため子どもの変化や予兆に気づきにくくなる。
これまでよりさらに注意して子どもの話を聞いたり、様子を見たりして、トラブルなどの予兆がないか気を付けたい。

14日目以降
いじめやトラブルが発生する可能性が高まる=ブラックゾーンの時期

 この前に予兆をつかみ、対策しておく。トラブルが発生したら、学童や小学校の先生、警察などに速やかに相談する。