新型コロナウイルスの影響が社会に広がっています。「災害に強い地域社会をつくる」というテーマで防災の啓発活動をしているNPO法人ママプラグの冨川万美さんに、普段から「想定外」のことを想定して防災の意識を持つことの大切さなどについてお話しいただきます。

 私たちは東日本大震災の支援活動を機に、多くの被災したママたちの経験を聞いてきました。働くママも多いなか、リアルな声を届けると同時に、まだ防災に踏み出せていない方々に少しでも興味を持ってもらい、「一人一人が災害に強い地域社会」をつくりたいという気持ちで啓発活動をしています。また、防災の暗いイメージをクリエーティブな力で「楽しく取り組めるもの」に変えていけるよう、自治体・企業との取り組みに力を入れています。

 例年、2~3月は、防災意識が高まることもあって非常に忙しい時期です。しかし、新型コロナウイルスの影響で3月中のイベントはキャンセルとなり、学校は休校、習い事も休業。日々さまざまな発表があり、それに振り回される毎日を過ごしています。

 読者の皆さんも、働き方や向こう1カ月の過ごし方について試行錯誤していることでしょう。

 「想定外」の出来事……9年前の東日本大震災といい、先日の台風といい、これまで何度耳にしたことか。もはや、日常的に「想定外」を想定しておくことこそが、今必要とされている生きるためのスキルなのではないでしょうか。

 そんな中、皆さんを今回不安に陥れているのが、マスクをはじめとした「紙製品在庫切れ」騒動でしょう。

 スーパー、ドラッグストアなど、街のどこへ行っても在庫切れ、揚げ句の果てにお米や飲料水まで棚にはほぼ無い状態に。オイルショックの時代から現在に至るまで、市民の行動が変化することは無いように感じました。

 特に買いだめをしようと思って出向いたわけでなくても、多くの人が買い物籠いっぱいに食料品や日用品を入れているさまを見て、「あれ? もしかして物流が止まるのかな」と不安になり、いつもよりたくさん購入してしまった人も多いのではないでしょうか。

 今回のテーマは、デマ情報です。買い占めしてしまう心理や行動を否定しているわけではありません。このような状況下では、人は安心感を得るため、大切な家族を守るために行動することのほうが当たり前だと思うからです。