災害デマは二次災害。防がなくてはいけない

 災害が起こると、間違いなくデマ情報が流れます。今回の「マスクの生産に原材料が回るので、トイレットペーパーの生産が追い付かなくなる」などという、根拠の無い情報がまさにそうです。SNSは大きなメリットがある半面、デマ情報が一気に拡散するという闇も持っています。

 東日本大震災の際にも、災害デマや風評被害が波紋となり、苦しい思いをした人や体調に支障を来した人が後を絶たず、中には命を絶つ人もいました。

 この状況が続くと、本当に必要な人に、必要なものが届かないことになります。今も、花粉症や持病のある人にマスクが届いていなかったり、医療従事者への物資が不足したりしています。災害デマは二次災害です。絶対に防いでいかなければなりません。

 冷静に考えれば、そんなことは無いとすぐに分かることなのですが、それらしい根拠を並べられると、どうしても不安になってしまう。対処法としてお伝えしているのは、以下のことです。

・情報はなるべく拡散しない。自分だけにとどめる
・信頼できる発信元の情報を入手する

 おのおのが必要な情報を取りにいける時代です。良かれと思って誰かが拡散しなくても、そんなに困ることはありません。もし、本当に伝えたい情報があるのなら、必ずその発信元を確認しましょう。情報に誤りがあったときに、責任を持って訂正情報を流せる発信元かどうかを見極めましょう。

 そして、自然災害が今来ないと言い切れない現実があることを知ってください。世界中が不安な状況ですが、普段から家族でいざというときのことを話し合い、何が起こっても構えていられるよう、安心材料をためてください。ぜひ、夫婦や友達を巻き込んで、冷静な行動ができるルール作りをしてください。

 事前に想定し行動しておくことで、家族にとっての必要なモノの備えも進み、飛び交う情報を精査する余裕が生まれるでしょう。デマが流れているとき、「これはデマだ」と判断できる人が一人でも増えれば変わっていきます。

 防災は巻き込みです。「わが家はこういうルールを作っているよ」「わが家はこんな備蓄をしているよ」と、日常会話の一つとして防災に関することを話してください。まずは皆さんが仲間内の防災リーダーとなってください。

 必要な人の元へ、必要な物資が安定して届き、病気や災害に負けない社会をつくっていきましょう。

写真/鈴木愛子