被災時の「やってはいけないこと」
現に、以下のような負のスパイラルが発生していますよね。
子どもが毎日休みで家にいるという大きな不安とストレスを抱く → トイレットペーパーはまだあるけど、もし無くなったら家にいる家族が困る → 一応買っておこう → 棚に無い → LINEでママ友に情報共有 → SNSなどで拡散される
パニックに陥ってからでは、冷静に行動することはもはや困難です。
私たちは防災啓発のためのセミナーをしたり、マニュアルの監修をしたりしているのですが、そのなかで、防災には「ハード面(モノの備え)」と「ソフト面(行動の心得)」があると強調しています。そのうち「モノの備え」については、正直なところ、あまり時間をかけてお伝えはしていません。
なぜなら、東日本大震災以降、必要なモノはネットの情報などを見てある程度入手できるからです。もちろん、家族の一人一人にとって必要なモノは変わってきますので、「オーダーメード防災」として考えてもらう時間は設けていますが、それよりもじっくりと伝えていきたいのは「行動の心得」です。
ただでさえ多忙極める子育て中の皆さんに、「モノの備えもして、さらに行動の心得も」と言うと、防災をおっくうに感じさせてしまうことになります。そこで、行動の心得については、あえて「やってはいけないこと」を先にお伝えしています。その心得さえあれば、冷静に次の行動に移すことができるからです。
「やってはいけないこと」とは、例えば
× 単独行動をする → 〇 助け合いをする
× なんでも我慢しようとする → 〇 生活拠点の移動や人を頼る
など。そして必ず、以下の心がけるべき項目も入れています。
・危険箇所の撮影、投稿をしない
高波、竜巻、火事などを興味本位で撮影することには命の危険性が伴います。こうしたことは、私たちが多くの被災体験を聞いてきたなかで、子どもたちを含めたこれからの世代に正しく伝えていかなければならないと強く感じています。