DUAL連載『内藤陽介のニュース英語塾』の筆者で、元ジャパンタイムズ報道部長の内藤陽介さんには現在、都立中高一貫校を経て私大に通う長女と、国立大付属高校に通う長男がいます。子どもたちも2人とも英語が得意ですが、インターナショナルスクールや英会話教室に通わせたことはなく英語教育をできるだけ「外注」せず、家庭内で「手作り」するというポリシーで子育てをしてきたと言います。今回は、未就学期に発音やアルファベットを教えるにあたり、具体的に内藤さんがどのような工夫をしたのかについて聞きます。

音の違いを早くから意識させたかった

日経xwoman DUAL(以下――) 前回は、アニメなどを英語で見せるだけではなく、親が積極的に英語を口に出していくことも大事という話を聞きました。しかし、発音に自信がないという親は、中途半端な発音の英語を口に出してもいいものか、ちょっと迷ってしまいます。

内藤陽介さん(以下、内藤) もちろん親が発音の違いをきれいに表現できるのが理想的ですよね。ただ、もしできなくても、あまり気にしなくていいと思います

―― どういうことでしょうか。

内藤 まず、前提として、音の違いを早くから意識しておくことは大事だと思っていました。日本語では「ライス」と書いても、riceは「米」で、liceは「シラミ」で、大違いの意味になります。音の違いを知らないと、いずれ単語の音と、意味、スペリングを合わせて覚えていく段階でとても苦労します。特に、日本人が苦労しがちな、子音lとrの違いやthの発音については、早いうちから違いを認識できるようにしたほうがいいなと考えていました

 語学を仕事にしてきた私と妻は、正しい発音を知る努力をしてきた蓄積があったので、苦手意識はありませんでしたから、根気よく子どもたちに発音をまねしてもらうことに注力しました。最近は、発音するときの舌の位置や、出てくる音の違いなどを分かりやすく説明した無料動画がたくさんあるので、苦手意識があったり、自分の発音に自信がなかったりする人も、学び直しをしやすい世の中になっていると思います。

 ただ、親が完璧に発音できることよりも大事なのは、「違い」があることを伝えようとする親の姿勢だと思います。