人生を深く考え将来を見据える目線を養いたい

── 最後に今後の育児で大事にしていきたいことを教えてください。

Hさん 私はフランス語学科を卒業し、その後の生活や仕事にフランスが大きく関わってきていますが、フランス語学科の同級生も今はフランス語とは関係のない仕事をしている人がほとんどです。社会に出てから大学での専攻が重視されないというのは日本ではありふれた風景ですよね。

 一方フランスの大学生は、大学時代から深い専門性を求められて日本の大学生よりも圧倒的に勉強もしているし、大学で学んだ専門をその後の人生で生かす人がほとんどです。どちらが良い・悪いではないのですが、せっかく4年間も大学に通うのであれば、日本の大学生の在り方はもったいないと感じています。

 フランス人は高校生のうちに進路を決め、大学で専門を追求することが可能なのに、日本人はそこまでではない。この差は日本の雇用システムにあると思っています。フランスでは技能が求められるジョブ型採用が行われているのに対して、日本はメンバーシップ型の採用システムのために、大学の専門を真剣に考える機会が薄まっているように思えるのです。

 将来息子たちがどこでどのように仕事をしていくかは分かりませんが、フランスを始めとする海外でも通用する人材になるためにも、高校生までのうちに、自分の人生を深く考え将来を見据える目線を養っていきたいと思います。

 そう考えると、やはり幼いうちから偏差値ばかりを追うのではなく、社会活動を通じて思考力を養うことが大事だなと改めて思います。社会に対して何ができる人になりたいかという目線を大切に、息子たちのエネルギーを蓄えていくことをサポートしていきたいですね。これからもDUALの記事から考え方のスパイスを取り入れて、参考にしていきたいと思っています。

「自分はどう考えるか」ということを子どもたちに問いかけるようにしているというHさん
「自分はどう考えるか」ということを子どもたちに問いかけるようにしているというHさん

取材・文/須賀華子(日経xwoman DUAL) 写真/Hさん提供