転職活動は、自分と向き合い成長できる人生の大きなチャンスです。しかしワーママの場合、育児中であること、勤務時間が制限されることが負い目となって自己評価が低くなったり、セルフディスカウントをしてしまったりすることがあるようです。反対に、自分のことを分かってもらおうと面接などで主張しすぎて、相手の気持ちに気付かないことも。企業の人材育成に携わるCAP総研の髭彰さんが、ビジネス・エニアグラムを応用したタイプ別・ワーママ転職の転活アドバイスをする本シリーズ。第1回は9つに分類される性格タイプを紹介します。診断項目をチェックして、自分のタイプを見つけてみましょう。第2回以降は、タイプごとの潜在心理と強みを提示し、それに沿った転職活動の注意点や、自己PRのポイント、向いている環境を紹介していきます。

(日経DUAL特選シリーズ/2020年2月収録記事を再掲載します)

 CAP総研の髭彰さんによると、エニアグラムはギリシャ哲学をルーツとし、「人間は9つの本質を持つ」とするのが特徴です。20世紀になって米国スタンフォード大学などで研究が進められ、現在企業の人材育成に活用されているといいます。潜在心理(無意識)の違いによって、人を下の図のように9つのタイプに分類します。

図1 9つのタイプを表した図。タイプの名称はCAP総研のオリジナル。画像提供/CAP総研
図1 9つのタイプを表した図。タイプの名称はCAP総研のオリジナル。画像提供/CAP総研

 エニアグラムでは、人は生まれながらに「素晴らしい資質」を持っているといわれています。しかし、「囚われ」と呼ばれる無意識の思い込みによって、根元的恐れと根元的欲求が生まれ、その人の性格や価値観、行動パターンに影響を及ぼしています。

画像提供/CAP総研
画像提供/CAP総研

 本連載では、上図内の「囚われ」を「無意識の思い込み」、「根元的恐れ」を「無意識の弱み」、「根元的欲求」を「無意識の動機」、「素晴らしい資質」を「隠れた強み」と言い換えています。図1の矢印や円周にも意味がありますが、説明を省きます。

 髭さんによると、自分で気づかない潜在心理や、表に現れていない隠れた強み、今使っている強みなどを認識することができると、適職探しやキャリア形成を考えるときに多くのヒントを得られます。例えば、自分が発揮できている強みや、隠れた強みがハッキリするので、キャリアの棚卸しをする際に、強みを発揮できた経験をピックアップしやすくなります。志望する企業に貢献したい根拠も、自分の強みを取り入れてポジティブに表現できるようになります。転職活動や面接などプレッシャーが掛かる場面では、無意識の弱みが出やすいものですが、弱みを認識しておくことで、事前に心の準備が可能に。自分の強みを確信して表現することで、「自分の強みを認識していて、当社で働く上でのビジョンもしっかり持っている人だ」と将来性を感じてもらうことにつながるでしょう。

性格タイプの診断方法

 次ページからタイプ分け診断を始めましょう。ワーママのタイプは図1の9つに診断されます。それぞれのタイプに性格をイメージしやすいニックネームをつけると下記のようになります。

タイプ1 正しさを求める人、細かくきちんとやる人
タイプ2 親密を求める人、親切に世話をする人
タイプ3 成功を求める人、効率的に進める人
タイプ4 個性を求める人、自分らしさを大切にする人
タイプ5 知識を求める人、一人で考える静かな人
タイプ6 安心を求める人、慎重で用心深い人
タイプ7 楽しさを求める人、自由で楽天的な人
タイプ8 強さを求める人、自分で決めたいパワフルな人
タイプ9 和を求める人、平和で穏やかな人

 診断は2つのステップで行います。

STEP1
それぞれのタイプについて、特徴づける12の項目を紹介します。当てはまる項目の数が最も多いタイプを見つけてください。判断するときは、20歳ごろから変わっていない自分の傾向で決めてください。仕事で身に付けた考え方や、なりたい自分という視点で決めず、本来の自分はどうかというポイントで決めましょう。

STEP2
STEP1で当てはまる項目が多かったタイプの「自己紹介」を読んでみましょう。その内容に納得できれば、それが自分のタイプです。納得できない場合は、当てはまる項目が多かった順にそのタイプの自己紹介を読んでいき、納得できたところが自分のタイプです。