さまざまな分野の女性リーダーに、自分にとっての「働く」「育てる」を聞くこの連載。2019年に東京大学で初の女性の学部長となった秋田喜代美さんは、新卒で就職した銀行を結婚退社した後、子育てに専念する中で「子どもの発達について学びたい」との思いを強くし、大学で学び直すことに。子育てと研究を両立した日々のエピソードについて伺います。
(後編) 大人が枠に押し込まなければ、子は自由に意欲伸ばす

「あなたはよい相手と結婚すればいい」と言われて育った
―― 秋田さんは1人目のお子さんを出産後に東京大学に入り直したのですね。学ぶことへの強い意欲があってこそだと思いますが、どのような環境で学んでこられたのですか。
秋田喜代美さん(以下、秋田) 小・中・高と国立大付属の一貫校に通い、教育環境として恵まれた中で学んできたと思います。親から愛されて育ちましたが、ただ母は、「お兄ちゃんは大学に行くけど、あなたは花嫁学校に行ってよい人と結婚すればいいのよ」と性別で私の将来を決めているところがありました。小学1年生くらいから、そういった母の考え方に違和感を抱き始めたと記憶しています。
―― そのように言われながらも、東京大学への進学を目指したのですね。
秋田 高校生のときに「このままずっと同じ環境に身を置いていていいのだろうか、外の世界を知らなくては」という思いが大きくなったんです。同級生に東大を受ける人が多かったので、周囲に流されるような形で挑戦しました。
入学することはできましたが、今度は入学した途端に目標を⾒失ってしまったんです。当時、「東大の女子学生は3割しか結婚できない」といわれていたので、「私はそこに入ってみせる!」と、彼氏を見つけることが学生生活の目標のようになってしまって……。あれほど母の話に違和感を覚えていたのに、いつしか「お嫁さんになること」が目標になったことに特に問題意識も持たず、自由な時間を謳歌していました。
次ページから読める内容
- 「そこまでして学ぶ意味があった」と思える研究をしよう
- 一生という長いスパンでワークライフバランスを捉える
- その人らしさを生かせる環境かどうかが大切
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