本連載では、学校への取材経験が豊富な教育ライターの佐藤智さんが、現役の先生たちに保護者が気になることを聞いていきます。連載第6回のテーマは「学校のデジタル化、オンラン授業の可能性」。文部科学省によるGIGAスクール構想により、ほとんどの小中学校でタブレットやパソコンの活用が始まっています。新型コロナウイルス下で始まったオンライン授業が今後、小学校においてどのように実施されていくかも、親としては気になるところでしょう。小学校現場でのリアルな事情を聞いていきます。

【親が知りたいことを直撃! 先生のホンネ 学校のリアル】
これまでのラインアップ

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【話を聞いた先生】
A先生 神奈川県の公立小学校に勤務。新卒で先生になり16年目。
B先生 栃木県の公立小学校に勤務。新卒で先生になり18年目。
C先生 都内の公立小学校に勤務。新卒で先生になり7年目。

小学校でのオンライン授業には親のサポート、環境などの課題 

 GIGAスクール構想が進む中、ICT環境の整備が進んでいる。その活用はどのような状況なのだろう。2020年当初、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための休校時には、オンライン授業や、対面授業とオンラインのハイブリッド授業の可能性を伝える報道がなされていた。しかし、現実には難しい面もあるようだ。A先生は次のように言う。

 「オンラインで授業をした場合、対面授業と同じように子どもが集中でき、理解できるのは、発達段階的には小学校高学年以上でしょう。高学年であっても、接続などで保護者のサポートが必要な子どもが多いです。しかし、共働きなどで家庭にサポートできる方がいなかったり、そもそもWi-Fi環境が整っていなかったりするケースもあります。こうした状況で、一律に『オンライン授業をしよう』と舵(かじ)を切るのは難しいでしょう

 そのため、A先生の学校では現状は、休校期間が発生するとプリントで宿題を出すといった対応を行っている。

 ただ、デジタルツールの活用により、意外なところで、不登校の子どものサポートができるようになったとB先生は言う。

 「ちょっとしたつまずきで自信を失い、学校に来にくくなる子は少なくありません。これまでそうした子への対応は、担任から保護者に電話をするといったことに終始していました。しかし、オンライン会議機能を活用して担任と保護者と子どもの3人で話せるようになったり、仲が良かった子から『待っているよ』といった声かけができるようになったりしたことで、再び学校に来ることができた子もいます。不登校になっても、デジタルツールを使えば、学校と完全に断絶せず、なだらかにつながり続けることができます。すると、『ちょっと行ってみようかな』と思えるようになるのかもしれません」

 B先生が知る限り、こうした働きかけで3人の子が学校に復帰したという。不登校になった原因にもよるが、デジタルツールの可能性を感じずにはいられない。

 タブレットがあったからこそ、コロナ下でも実現できた学びがあると、音楽専科として働いたこともあるB先生は言う。

 「コロナ下の対応で音楽の時間に歌を歌ったりリコーダーを吹いたりすることが難しくなりました。そこでタブレットを持ち帰り、自宅で歌ったり演奏したりする様子を撮り、提出してもらいました。これにより指導や評価ができるようになりました。ICT普及の意義を感じた出来事です」

次ページから読める内容

  • ハイブリッド授業の可能性とは?
  • デジタルツール活用の可能性と課題

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