本連載では、学校への取材経験が豊富な教育ライターの佐藤智さんが、現役の先生たちに保護者が気になることを聞いていきます。連載第3回のテーマは「通知表」。通知表の何を見て、どう子どもの学びへと生かしていけばよいか分かりますか? また、小学校では2020年から通知表の評価の「観点(評価する項目)」が変わっていたことはご存じでしょうか。保護者会では聞けない先生のホンネや小学校のリアルな事情を聞いていきましょう。

【親が知りたいことを直撃! 先生のホンネ 学校のリアル】
これまでのラインアップ

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【話を聞いた先生】
A先生 神奈川県の公立小学校に勤務。新卒で先生になり15年目。
B先生 兵庫県の公立小学校に勤務。民間教育機関勤務を経て先生になり11年目。
C先生 都内の公立小学校に勤務。新卒で先生になり13年目。

通知表の評価の観点は大きく変わっていた

 「実は通知表(あゆみ)の評価の『観点』が、小学校では2020年に大きく変わったんです」

 そう語るのは、神奈川県の小学校に勤務するA先生だ。「観点」とは、通知表の評価を決める際に見るべき項目のこと。観点の変更は文部科学省の学習指導要領の改訂を反映したもので、すべての教科がこの観点にのっとる。

 従来は「知識・理解」「技能」「思考・判断・表現」「意欲・関心・態度」の4観点だったのが、新しく「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点へと変更となった。

【評価の観点の変化】
「知識・理解」「技能」「思考・判断・表現」「意欲・関心・態度」

「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」

 観点が変更されたことを知らなかったという保護者は多いかもしれない。実際には、小学校から保護者あてに文科省から配布された資料を配ったり、変更についてプリントで配布したりといった対応がされているが、どの先生も「変更を理解している保護者の方は少ないかもしれないですね」と話す。