通信制高校は生徒数も学校数も年々増えています。文部科学省の調査によると、2022年度の生徒数は23万8314人。学校数は前年度より13校多い273校で、ともに過去最高でした(※)。そこで神奈川県の公立通信制高校に15年間勤務し、現在は星槎(せいさ)大学教授を務める手島純さんに、近年増えている新しいタイプの通信制高校について解説してもらい、子どもに合った学校の選び方を聞きました。通信制高校のカリキュラムや卒業後の進路などについて聞いた前編と併せてお読みください。

【年齢別記事 中学生~大学生のママ・パパ向け】
(1) 前編 通信制高校での学び 親の不安は「本流」から外れること
(2) 後編 「制服で週5日登校」の学校も 通信制高校選びの注意点 ←今回はココ

中学の先生や保護者に認知され、進学者が増加

 通信制高校へ進む生徒数が増えている背景について、手島さんは次のように説明します。

 前編記事『通信制高校での学び 親の不安は「本流」から外れること』で解説したように、通信制高校は、全日制高校や定時制高校と比べて少ない出席日数で単位が取得でき、3年間で卒業できます。人間関係に縛られることが少ないので、コミュニケーションを取るのが苦手な生徒にも通いやすい環境です。こうした通信制高校の特徴が中学校の先生や保護者に認知され、進路の選択肢として一般的になってきたのが、生徒が増えている一因でしょう」

 その生徒像はさまざまです。

 「不登校経験者や病気がちな生徒、発達障害があり自分のペースで学びたい生徒などの受け皿になっています。自由な時間を取りやすいことから、スポーツや芸術、芸能、コンピューターなど、打ち込みたいことがある生徒も進学しています。

 また、通信制高校は全日制高校に比べて校則が厳しくありません。私服で登校できる、頭髪ルールがない、ネイルやピアスがOK、アルバイトが可能など自由度が高い学校が多いため、校則が厳しい全日制高校が合わなかった生徒の転入先としても選ばれています」

 生徒の多様性を反映するように学び方も多様になっています。そのため、学校選びで注意すべき点もあるようです。詳しく聞いていきましょう。

【この記事で読める内容】
・eスポーツやアニメなどの専門コースを選ぶ際に注意することは?
・通信制高校の選び方 3つのステップ
・偏差値がない学校を、どんな視点で選ぶか
・教育の質を見極めるには?