子どもが中学生になったとき、小学校時代とは異なる大人っぽい世界に戸惑った親は多いのではないでしょうか。例えば、先生の生徒への接し方1つ見ても、厳しい雰囲気があります。部活や委員会では、先輩・後輩の人間関係が出てきます。勉強では、教科書やプリントがいかにも難しそうな見た目(もちろん内容も)に変わります。わが子が大人の階段を上り始めたことを実感する一方、目の前の子どもは小学生の頃とあまり変わらず、頼りなく見えるかもしれません。このような状況で、親は中学生になったわが子とどのように接すればよいのでしょうか。

そこで、25年にわたる養護教諭の勤務経験があり、現在は独自のメソッドで養護教諭への研修や親へのアドバイス、思春期の子どもたちへの講演などの分野で活躍している桑原朱美さんに、中学生の子への関わり方、親離れ・子離れについての考え方を聞きました。

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中学時代に身に付けさせたい思考パターンとは

 「保健室の先生」として思春期の子どもたちと接してきた桑原朱美さん。「中学校は小学校と全く違う雰囲気で、先生の接し方も変わります。その大人っぽい雰囲気に親御さんがのまれて子どもの手を突然離すのは、泳ぐ練習をしないでいきなり海の中に放り出すようなもの。それでは子どもはどこかへ流されてしまいます」と警鐘を鳴らします。

 「中学時代はまだ親の関わりが必要です。とはいえ、いつまでも親が『ああしろ、こうしろ』と何でも決めて指示をしていては子どもの自立が妨げられてしまいます。大切なのは、何かあったときも子どもが自分で前に進んでいける思考パターンを身に付けさせて、少しずつ親離れ、子離れをしていくことです」

 桑原さんは、中学時代につくってあげたい思考パターンとして次の2つを挙げます。その理由や具体的な思考方法を詳しく聞いていきましょう。

【中学時代につくっておきたい思考パターン】

・ネガティブなことがあったときに、状況を変えるためにどうしたらいいか、「次」を考えられる

・失敗をしても「いい経験をした」と意味づけして、成長のチャンスにできる