2022年4月から成年年齢が引き下げられ、高校生でも18歳以上ならクレジットカードをつくったり、ローンを組んだりすることができるようになりました。わが子が消費者トラブルに巻き込まれるのではと心配な人もいるのではないでしょうか。そこで、消費者教育を研究する鳴門教育大学大学院教授の坂本有芳さんに、中学生や高校生の子どもに親が伝えるべきことを聞きました。この4月に高校でも拡充された金融教育について解説した前編に続き、後編の今回はお金の管理の仕方や、「お金」というものをどのように捉えたらよいかを聞いていきます。

【年齢別記事 中学生~大学生のママ・パパ向け】
(1) 18歳で成年に わが子をお金のトラブルから守るには?
(2) 「買う」「買わない」の判断力を思春期にどう育てる? ←今回はココ

まとめて渡し、チャージは自分でさせる

 鳴門教育大学大学院教授の坂本有芳さんは、「思春期の子がいる家庭では、実際にお金を使う経験を通して子どもの金融リテラシーを育てていくとよい」と話します。

 最近は交通系ICカードや○○ペイなどのキャッシュレスで買い物をすることも増えています。必要な度にチャージするため、現金のお小遣いと合わせていくら使わせているか、親も把握できていないかもしれません。

 坂本さんは、中学生以上の子どもには、期間を決めて一定額を渡す方法を勧めます。交通系電子マネーの場合は、交通費として必要な分を上乗せします。

 「キャッシュレスにいくら入れるかを子どもに考えさせたり、自分でチャージさせたりしましょう。『渡したお金の中でやりくりしなさい』と伝えることも大切です。足りなくなったとしても、多少の困る経験は、お金の使い方を反省したり、真剣に考えたりするチャンスになります。限りを意識するからこそ、その中で何とかしようという工夫が生まれます」

 しかし実際には「お小遣いが足りなくなりそうだと、補充してあげる」という親が多いかもしれません。祖父母があげてしまうという家庭もあるでしょう。「お金に困るのはかわいそう、と思うかもしれません。しかしそれでは再び『ぼんやりとお金を使い、足りなくなったらもらえばいい』ということの繰り返し。管理する力が育ちません」と坂本さん。

 かといって、厳密にお小遣い帳を付けさせるといった方法も得策ではない、と坂本さんは言います。では、限りあるお金を子どもが自分で管理し、有効に使えるようになるにはどうしたらよいのでしょうか。