朝起きるのがつらくなったり、めまいや立ちくらみを引き起こしたりする「起立性調節障害」という病気を知っていますか? 小学校高学年から中学生にかけて発症しやすく、不登校の原因になることもある病気です。原因は成長に伴って自律神経のバランスが崩れることですが、重症の場合、治るまで数年かかり、勉強への遅れに悩む親子もいます。この記事では、わが子が起立性調節障害になった経験があり、現在は親の会「#つながる朝顔プロジェクト」を運営する井上直子さんに、病気との付き合い方や受験の乗り越え方、現在悩んでいる親へのアドバイスを聞きました。

【年齢別記事 中学生~大学生のママ・パパ向け】
(1) 不登校の原因にもなる「起立性調節障害」
(2) 起立性調節障害になった次男 通信制高校経て今は大学院 ←今回はココ

原因不明の頭痛。いくつも病院を回った

 小学校の学校司書として働く井上直子さんには、現在大学院に通う次男が起立性調節障害になった経験があります。発症したのは中学2年の1月ごろ。「朝、揺すっても起きず、目を覚ましても頭が痛いと言って起き上がれなくなりました

 発熱やせきなど風邪の症状はありませんでしたが、取りあえず学校を休ませたと言います。症状は何日も続きました。「小児科を受診するとストレスによる不登校を疑われたのですが、学校に行っていたときの状況を考えてもその可能性は考えられませんでした。脳外科を受診すると、片頭痛だろうと痛み止めを処方されました。しかし効き目はなく、症状が改善しない日々が1カ月以上続きました」

 井上さんはインターネットで頭痛を手掛かりに病院を探します。すると、少し遠くに頭痛の患者に評判のよい病院があることが分かりました。診察が午前中だったため、朝のうちは調子が悪い息子を車に押し込むようにして、病院へ向かいました。

 診察で「朝起きられず、頭痛が続いている」と話したところ、磁気共鳴画像装置(MRI)の検査をされ、脳に異常がないことを確認しました。さらに「新起立試験」という検査を受けて、起立性調節障害であることが分かりました。

 「起立性調節障害にはいくつかタイプがあるのですが、次男は起き上がったときに脈拍が多くなる体位性頻脈症候群で、しかも重症度が高いと言われました」

 起立性調節障害という病気の存在すら知らなかった井上さんですが、病名が分かって少し気持ちが落ち着いたといいます。ビタミン剤や頭痛薬を処方され「これで治るのではないか」という希望が湧いてきました。

 中学校は3学期に入ってからずっと休んでいました。3月上旬に井上さんは学校に連絡を取り、面談を申し込みました。面談には誰が出席し、どんなことを話し合ったのでしょうか。

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