第1子が誕生した小泉進次郎環境大臣。誕生後の3カ月間に2週間分の育休を取ると表明したことで、注目を集めています。2020年、男性による育児休業取得は広まっていくのでしょうか。大臣が取得する意義や今後の影響、現状6.16%にとどまる取得率を押し上げるための提言などを、各界の識者の方に聞いていきます。

今回は、7歳と3歳の2児の父で、大手企業勤務時代に思うように育休を取れなかった経験から、男性育休を普及させるために独立、その名も「男性育休コンサルタント」の広中秀俊さんに聞きました

 小泉進次郎環境大臣は、2019年9月に育休取得を表明したあと、さまざまな反対意見を受けて一度は撤回しようとしたという経緯があります。再び育休取得を宣言した背景には、よほどの強い意志や覚悟、決意があるのだろうと推測しています。

 男性育休を普及するために活動している身として、小泉さんの育休取得表明が世間に与えたインパクトは非常に大きいと感じています。

 大臣が育休を取得すれば、省庁の職員も男性育休を取りやすくなり、そのムードは確実に民間企業へも波及するはず。育児・介護休業法をはじめとする日本の子育て支援の制度は、実は世界でもトップクラスに入るほど充実しています。育休は性別に関係なく1年以上雇用保険に加入している人なら取得できます。にもかかわらず、自分にも育休取得の権利があり、取得が可能だということを認識していない人がとても多い。また、権利があり取得が可能だと知っていても、「とても取れるような雰囲気ではない」という人も少なくないですね。

 また、男性の子育てに関しては、首都圏と地方では大きく違い、首都圏で働く人の間では、男性が育休を取るケースがあることは知られていますし、実際に身の回りにも一人ふたりは、男性育休を取った人がいたりするものですが、地方では男性育休はまるで知られていないこともあります。公務員もしかりです。昨年、ある中堅都市の県庁を訪ねた際、男性で育休を取った人がいるかどうかを尋ねてみたところ、「そのようなケースは聞いたこともないし、周りで取った人など一人もいない」と返されました。今回、現職の大臣が男性育休を取ると表明したことで、男性が育休を取ることなど意識にないような人にまで男性育休の存在が知られるようになったでしょう。

 そもそも、小泉さんは若手政治家で、大臣として在任中に子どもが生まれることそのものが、日本ではレアケースと言えます。そうした千載一遇のチャンスを小泉さんはよくぞ生かしてくれた。そんな思いでいっぱいです。

写真はイメージ
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 私自身、大手住宅メーカーに在席していた時に2人子どもが生まれたのですが、7歳の上の子の誕生時は、部署内で過去に取得した人がおらず、雰囲気的に育休を取得できませんでした。その思うように育休を取れなかった経験から、厚労省の「イクメンプロジェクト」が選定する「イクメンの星」に応募、選定されました。「政府公認のイクメン」としての立場を利用し、3年前の2人目出産時は1週間取得できたのですが、もっと長く取りたかったというのが本音です。

 すばらしい制度があっても、それが全然使われていない現状がとても歯がゆく、この「雰囲気」を変えていきたい。今、6%台の男性の育休取得率が50%くらいにならないと日本の風景は大きく変わらないと思います。少なくとも50%以上に達するまで、活動を続けていきたいです。