子育ては「負担」ではなく「エンタメ」

 私は、子育てというのはエンターテインメントであり、育休は、子どもとの時間を楽しむために日本で働くパパやママが与えられている特別な権利、カードだと捉えています。パパが育休を取って、一定期間どっぷりと、子どもと楽しい時間を過ごすことができれば、育休が終わったあともずっと、子どもと楽しく向き合おうとするマインドが持続します。逆に、子どもと楽しく過ごした経験がなければ、育児は単なる「負担」となり、夫婦間で押し付け合うものになってしまいます。家事などのタスクをこなすことも大切かもしれませんが、まずは無条件に子育てを楽しむことに専念してください、と育休を取る男性には声を大にして言いたいです。

 「楽しむといっても、何をしていいか分からない」というパパは、児童館や図書館の子どもスペースの活用をお勧めします。そうした子ども向け施設には、さまざまなイベントの情報なども集まっているので、楽しいプランも立てられると思います。0歳からでも連れていけるので、家に閉じこもるのでなく、どんどん外に連れ出してあげてください。

 子どもは10歳くらいになると、パパより友達が優先になっていきます。逆にいうと、最初の10年が最もパパとして楽しめる時期ということです。そう考えれば、生まれた直後の子どもとしっかり向き合うことができる育休がどれほど貴重で、大切に過ごすべきかも認識できるのではないでしょうか。

 逆のことを言っているように思われるかもしれませんが、「新規事業のネタを探す目的を一方で持って男性育休に臨むのもあり」だと私は思います。どんな企業でも、何かしら子育てとの関連はあるはず。当事者として、子育て世帯にどのようなニーズがあり、どんな商品やサービスが望まれているかを探るつもりで育休に臨めば、新しく得た視点や知識を生かして、会社にも貢献できるかもしれません。もし、男性育休を取るべきかどうかで迷っているなら、そうした方向でマインドチェンジをしてみるのもいいでしょう。

取材・文/蓬莱明子(日経DUAL編集部) イメージ写真/PIXTA



広中秀俊(ひろなか・ひでとし)
広中秀俊(ひろなか・ひでとし) 1977年生まれ。大学卒業後、ミサワホーム入社。住宅営業、経理、まちづくり事業、働き方改革推進を経験。2児の父親。厚生労働省認定「イクメンの星」として、「イクメンスピーチ甲子園2018」では審査員を担当。2019年4月に独立。男性育休コンサルタントとして企業に男性社員が育休を取りやすくなる施策についてアドバイスしたり、社員研修を請け負ったりしているほか、官民連携コーディネーターとしてまちづくりなどのジャンルにおいて中央省庁と民間をつなぐ活動も。一般社団法人Cancer X等複数の団体の監事や新宿区100人カイギ代表なども務める。2020年2月6日に行われる東京都ライフワークバランスイベントでも登壇予定(https://www.lwb-expo.metro.tokyo.lg.jp/)。