忙しいからこそ「自分の見つめ直し」を

 大学院生や、プロデュース業、客員教授と、色々なことをしてきましたが、どれも本当に難しく常にギリギリのところで頑張っていました。それでも、やりたいことのためには「一歩踏み出す勇気」が大切なのだと思います。

 僕の地元の友人は、ほとんどが家族を持ち、仕事をして、ローンでマイホームを購入するような、いわゆる普通の生活を送っています。そんな友人たちも、話をしていると「やりたいこと」をふと口にすることがあるんです。

 あるとき、運送業で働いている友人がふと「パン屋さんをやりたい」と言い出したことがありました。実はパンを作るのが好きだと言うんです。「だったら、やってみればいいじゃん!」と僕は思います。

 いきなりお店を開けるかといったら無理でしょう。でも、時間を見つけて毎日1個ずつパンを焼いてみることはできます。それを続けて、いつかものすごくおいしいパンのレシピが完成したら、きっと次のステップにつながりますよね。それは1年後でも、10年後でもいいんです。毎日積み重ねるか、それをしないかの違いではないでしょうか

 自分で努力していれば、次へ進むためのステップが見えてきます。そのための努力ができないのなら、本当にやりたいことではないのかもしれません。僕は自分の中の熱量が高いことは、毎日でもできると思っているからです。

 もし、日々の忙しさで「やりたいこと」を忘れてしまっているのなら、ぜひ一度「自分の見つめ直し」をお勧めします。僕は、マインドマップを書いたりして、定期的に自分の見つめ直しをしています。自分が何を求めているのか、殴り書きでもいいのでノートにどんどん書き出してみる。すると普段は忘れているようでも、本当にやりたいことなら、心の中に「火種」が残っているはずです。それを思い出すだけでも、大切な一歩です。1つずつ丁寧に行動していくことで、やりたいことにたどり着くことができるはずだと思っています。

構成/都田ミツコ 写真/中川容邦
スタイリング/JUMBO ヘアメイク/千絵