宮城県仙台市にある「食」と「森」に力を入れたアットホームな保育園「食と森の保育園小松島」で園長を務める四釜喜愛さん。10年前の3月11日、強い揺れが仙台市を襲ったとき、四釜さんは子どもたちの保育中でした。当時のことと、震災の経験から思う「子どもを守るために大人ができること」について聞きました(DUAL特選シリーズ/2021年3月11日収録記事)

震災当日の四釜さん、子どもたちに「大丈夫」と伝え続けた

日経DUAL編集部(以下、――) 東日本大震災の日から10年がたちました。共働きの親にとって、「子どもを預けているときに地震が起きたら」というのは、心配事の1つです。当時のことを改めて教えてください。

四釜喜愛さん:(以下、敬称略) 地震が起こったとき、園はお昼寝の時間でした。私は2~5歳児の部屋にいて、そろそろ子どもたちが起きてくるかな、とのんびりしていました。突然、ドカンと、今まで経験したことのない縦揺れが起きたのです。

 とっさに「ピアノが倒れたら危険だ」と思い、ピアノの左端を押さえたのですが、次の揺れで反対側の足が大きくジャンプして、車輪が車止めから外れてしまいました。「ピアノを押さえてる場合じゃない、大変なことが起きた」と思いましたね。

 揺れに驚いて子どもたちが起き出してきました。「布団に入っていて」と大声で伝えました。窓ガラスは大きな音を立ててきしみ、天井を見上げるとガタガタ揺れている。そんな中、目覚めず寝ている子もいれば、パニックになる子ももちろんいました。私もいつ天井が落ちてくるかと気が気じゃなかったのですが、子どもたちを落ち着かせるために、自分は「大丈夫、大丈夫だから、布団に入っていてね」と伝え続けました。布団をかぶって頭を守ることが、そのときにできる最善だと考えてのことです。

―― そこからの教訓はありますか?

震災の影響で園舎の壁や床にはひび割れができた
震災の影響で園舎の壁や床にはひび割れができた