年少・年中・年長と呼ばれる3~5歳は、小学校入学を意識しながら、子どもにより多くの体験をさせて興味の範囲を広げたい時期です。一方、今は新型コロナにより、行事や外出、イベントなどが制限される状況が続いています。

この連載では、宮城県仙台市にある「食」と「森」にこだわる保育園「食と森の保育園小松島」で園長を務める四釜喜愛さんに、3~5歳の子育てについて語ってもらいます。元はサラリーマンで、「子どもは大嫌いだった」という四釜さん。27歳で両親が営む保育園で働き始めてから、「子どもも保育も、なんて面白いのだろう」と魅力に目覚めたといいます。東日本大震災など未曾有の事態を乗り越え、常に「子どもの育ち」を一番に、試行錯誤を続けてきた四釜さんに、コロナ下だからこそ心に留めたい3~5歳の子育てのポイントを教えてもらいました。

(日経DUAL特選シリーズ/2021年1月19日収録記事を再掲載します)

「3~5歳の時期の親との関わりが、子どものコミュニケーション能力の基礎になる」と四釜さん。写真は0歳のころの次男
「3~5歳の時期の親との関わりが、子どものコミュニケーション能力の基礎になる」と四釜さん。写真は0歳のころの次男

日経DUAL編集部(以下、――) 3~5歳とは子どもの発育にとってどのような時期でしょうか。

四釜喜愛さん:(以下、敬称略) 特徴的なのが、言葉が発達する時期だということです。2歳くらいまでは、二語文でカタコト言葉だったのが、語彙も増え、構文をしゃべるようになる。それまでは、まだ少し赤ちゃん気分も残っていて「こんな言葉も言えるようになったの! すごいね、かわいいね」とチヤホヤ褒めていたのが、急にペラペラと一日中しゃべるようになって、「少し静かにしなさい!」と言いたくなってしまう時期でもあります(笑)。

 この時期の子どもには、「明るい未来を思い描ける言葉かけ」を意識してほしいです。忙しいときに、「お母さん、あのね、あのね」と話しかけてくると、つい「今忙しくて聞けないから、後で聞くから!」と返してしまいがちです。そうではなくて、「これが終わったら聞けるから、そのとき話してね」と、子どもの気持ちを否定することなく、前向きな言葉で話して、子どもが明るい未来を思い描けるようにする。そのような関わりの中で育った子どもは、自然と周囲にも前向きな話し方をするようになりますし、そういう子の周りには人が集まってきて、コミュニケーション能力が高くなる。将来にわたって必要になる要素が、この時期に培われます。ポイントは、親は子どもに話しかけられた際、反射的に返答しないこと。すっと息を吸って吐いて、一呼吸置いてから返事をすることで、前向きなコミュニケーションを始めることができますよ。

―― 3~5歳の時期に親とどう関わったかが、子どものコミュニケーション能力の礎を築く。改めて、大事な時期ですね。ただ、分かってはいても、コロナで家にこもりがちになり、イライラしてしまうということも多そうです。