堀田夏実さんは、一女を育てながらさまざまな商品・ブランドのマーケティング業務に携わり、2021年1月1日付で、花王のコンシューマープロダクツ事業統括部門のハイジーン&リビングケア事業部門長として執行役員に就任した。「考え抜く時間を確保するためにも、仕事のジャッジは即断即決を心がけてきた」と話す堀田さんに、マネジメントで大切にしていることやDUAL世代へのメッセージを聞いた。

【前編】花王執行役員 「何もかも中途半端」な日々を乗り越えて
【後編】花王役員 「誰よりも考え抜く」ために業務は即断即決 ←今回はココ

コロナ禍ではESG経営がより重点的な目標に

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況下で執行役員に就任した堀田さん。コロナ禍で働き方が変容する中、これからどのような視点を大切にして経営に関わっていきたいと考えているのだろうか。

 「コロナ禍においては、それまでなかなか浸透しなかった在宅勤務が当たり前になるなど、人々の価値観が大きく変わりました。持続可能な社会をどう実現するかということが、これまで以上に重要となるはずです。花王はこれまでにもESG経営に力を入れてきましたが、それがよりリアルな目標として感じられる世の中になったのではないかと感じています」

花王 執行役員 コンシューマープロダクツ事業統括部門ハイジーン&リビングケア事業部門長、ホームケア事業部長 堀田夏実さん
花王 執行役員 コンシューマープロダクツ事業統括部門ハイジーン&リビングケア事業部門長、ホームケア事業部長 堀田夏実さん

 ESG経営とは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の三要素を重視した企業経営のこと。花王はESGのさらなる推進を目指し、人事評価制度においては社員それぞれが事業への貢献のほかにESG推進につながる目標なども設定する

 「コロナ禍の現在は、多くの人々が不安を感じながら生活しています。それは私たち社員も例外ではありません。だからこそ、『自分たちの役割は何なのか』ということをもう一度考え、社会全体をより良くするためのイノベーションを起こしていく必要があります」と堀田さん。

 「私たちが手がけている商品の多くは生活必需品ですので、コロナ禍においても人々の快適で便利な暮らしを実現するためにできることがまだまだたくさんあると感じています」

 一般的に、子育て中の人の中には、両立への不安から管理職になることをためらう人も少なくない。そんなDUAL世代に向けて、堀田さんは次のようにエールを送る。