セイコーウオッチ取締役・常務執行役員の金川宏美さんは、一男一女を育てながら、主に営業部門の第一線でキャリアを築いてきた。DUAL世代が管理職になる際の心構えや、ウィズコロナ時代の今、営業部門の責任者として大切にしていることなどを聞いた。

【前編】セイコーウオッチ常務 涙の職場復帰、海外出張が転機に
【後編】管理職に挑戦する人は100点を目指さなくていい ←今回はココ

すぐにやる、必ずやる、最後までやる

 一般的に、子育て中の人の中には、子育てとの両立が困難であるという理由で管理職になることをためらう人も少なくない。そのような人たちへのアドバイスを求めたところ、金川さんからは次のような答えが返ってきた。

 「人間ですから、経験のないことを初めから完璧にできる、ということはあり得ないですよね。最初から100点を目指す必要はありません。仕事で大切なのは、自分一人の力で100点を取ろうとするのではなく、全体の流れを止めないこと

 私は、すぐにやる、必ずやる、最後までやる、この3点を心掛けてきました。まずやってみて、経験を積み重ねていけばいい。それくらい柔軟に考えてみるとよいのではないでしょうか」

セイコーウオッチ取締役・常務執行役員の金川宏美さん
セイコーウオッチ取締役・常務執行役員の金川宏美さん

 自身が管理職になったばかりの頃を振り返ると、「係長時代の研修で『現在の自分の2つ上の役職になったつもりで全体を見渡して仕事をしてください』と言われたことが印象に残っている」と金川さん。自らが部長となった際に、この言葉の意味を改めて認識したという

 「『この仕事をやってください』とお願いしたときの部下の反応を見ると、大きく分けて2つのタイプがあると感じます」