思い通りにいかない子育ての経験は仕事にも生きる

 最後に、金川さんにDUAL世代へのメッセージを語ってもらった。

 「学生時代は勉強すればテストで良い点が取れますが、仕事はどんなに頑張ったとしても100点は取れません。それ以上に100点を取れないのが子育てで、私自身の子育てを振り返ると、子どもを褒めようとしてもうまくいかないし、どれくらい叱ればいいのかも分からないし、何をやってもうまくいかなかくて毎日失敗ばかりでした。親は子どもに『こうなってほしい』と望んでしまうものですが、子どもは親の思い通りには育ちませんよね。

 私の場合は、良い意味で諦める経験を日々の子育ての中でしていたので、仕事で思い通りにいかないことがあっても『それで当たり前』と思えて、物事に柔軟に対応する力が身についたように思います。思い通りにいかないことがあっても、嫌な気持ちを引きずらずに、その先のことを考えようと気持ちを切り替える。それが大切なのは、子育てにも仕事にも通じることです。

 子育ての中で知らず知らずのうちに身につく、こういった気持ちの切り替えや柔軟な対応力は、仕事にもプラスの影響をもたらすはずです。その点に自信を持って、子育て世代の皆さんは『まずはやってみよう』という気持ちを持つこと、そして実践してみることを大切にしてほしいと思います」

取材・文/安永美穂 写真/洞澤佐智子