70点の出来でも無駄にはならない

 「上司から指示を受けたときの部下のタイプの1つは、できない可能性があったとしても、とりあえず『はい』と言って動き始めるタイプ。もう1つは、さまざまな懸念事項が頭に浮かび、それがクリアになるまで引き受けるかどうかを悩んでしまうタイプ。

 後者は、納得した上で仕事を引き受けてもらえれば、細部までしっかり考え抜いて進めてくれることが多いのですが、目まぐるしいスピードで変化していくビジネスの現場では、前者のように『すぐに動いてみる』という姿勢を持てることもとても重要です。2つ上の上司の目線になってみることで、見えてくる景色や、指示を受けたときの動き方も、変わってくるのではないでしょうか」

管理職になり、「すぐに動いてみる」姿勢を持つことの大切さを実感したという金川さん
管理職になり、「すぐに動いてみる」姿勢を持つことの大切さを実感したという金川さん

 金川さんのこれまでの実感としては、女性は後者のように慎重な姿勢をみせるケースが多いという。そんな女性たちに対し、金川さんは次のようにエールを送る。

 「『できないかもしれないけれど、とりあえずやってみよう』という気持ちで行動に移せば、そのときは成果が出せなかったとしても、他の打開策が見えてくることもあります。仕事はチームで進めるものなので、個人としては70点の出来だと感じたとしても、その挑戦から得られたことがチームの財産となれば、その挑戦は決して無駄にはなりません。勇気を持つこと、そして実践してみること。この2つはぜひ大切にしてほしいと思います」

失敗はあっても「やらない」という選択肢はない

 これまでのキャリアの中で失敗した経験はないのだろうか。

 「与えられたミッションで完結できなかったものも少なからずあります。自分なりにやってみても結果が伴わないときは潔く謝りますが、『やらずに謝る』という選択肢は私の中にはありません。『やってみた』という点を認めてくれて、次のチャンスを与えてくれた上司のもとで働き続けることができ、幸運だったと思います」

 仕事と子育ての両立に関しては、「両方があったことに救われた部分も大きい」と金川さん。「仕事が大変なときでも、家に帰って子どもの顔を見ると、仕事のストレスは忘れてしまう。逆に、子育てのストレスは仕事を始めれば忘れてしまう。自然と切り替えができたことは本当にありがたかったです。仕事と子育ての両立に正解はないと思うので、どういう道を選んだとしても、自分が選んだ道を正しいと思えたらいいですよね」