愛という名の下に、子に貸しを押し付けない
わが子にもぜひ、自分で自分を幸せにする力を身につけてほしいものです。親が最上のものを与えてあげるのではなくて、自分にとって何が最上かを自分で決められるようになってほしい。
親は子どもに生きるための知恵や技術を与えてあげることはできるけど、それをどう使うかは子ども次第です。
「えー、中学から名門に入れたのに、聞いたこともない会社に入るの?私の人生なんだったの?!」
とか言わないためにも、親が自分で自分を幸せにしておかないといけません。
では、子ども抜きの自分の幸福って、なんでしょう。資格試験を受けてキャリアアップをしてとか、そういうのじゃなくて…もっと切実な「寝たい」とか「会社帰りに映画見たり飲みに行ったりしたい」とか、なんかあるでしょう。それを、隙を見てこまめに成就させることが、幸せの総量を増やす近道だと思います。地味だけど、確実にクオリティ・オブ・ライフは向上します。
今は子どものために我慢、我慢と思っていると、無意識のうちに子どもに貸しを作ることになります。こんなに貸しがあるんだからぜひとも受験に合格して報いてほしいものだ、などと思ってしまう。子どもにしてみたら、知らぬ間に負債を抱えて返済を迫られるのですからいい迷惑です。しかも愛という名の下に。
今年は欲望に正直になりましょう。幸せに向かって猪突猛進。そんな親の姿から、子どももきっと何かを感じるでしょう。うわ、生きるってなんか勢いあるな、よく分かんないけど楽しそうだな、って。
どうか皆さんにとって、ハッピーな1年になりますように!
小島慶子さんの以前の連載「小島慶子のDUALな本音」はこちら
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https://dual.nikkei.co.jp/article/014/53/
(タイトルバナーの写真/稲垣純也)