パースにいるときには、1日も休まずに朝から晩までパソコンに向かっている私を息子たちが気遣ってくれます。今この原稿を書いている東京の部屋のデスクの傍らには、息子たちの部屋のライブ映像が映し出されています。今、二人が「おやすみ」を言ってくれました。端末の画面を閉じて、また一人の部屋に戻ります。

 以前は子どもが寝たら夫の部屋とつないでいたのに、それももうなくなりました。私は仕事で、夫は勉強で忙しいからなのだけど、もう昔のように次から次へと話したいことがなくなってしまったのです。話しても分からないしなとか、説明が長くなっちゃうしな、と私が一方的に諦めてしまったのかも。どっちみち子どもが自立してくると、夫婦の会話は以前よりは減るものでしょう。

子どもたちは見ているし、分かっている

 だからDUAL世代は黄金期です。気力体力の消耗は半端ないけど、子どもについて話し合うべきことやシェアすべきニュースはいっぱいあるし、手がかかる分、夫婦の共同作業は盛りだくさん。仕事とのバランスの悩みだって、けんかの元とはいえ、夫婦で共通です。

 DUAL世代の夫婦は、恋人だった頃とも新婚時代とも違う、それまでの人生で経験したことのない新しいフェーズへと突入した二人です。チームメイトであり、世界でたった一人の伴侶であり、その人なしでは暮らしが成り立たない、かけがえのないパートナー。たくさんけんかしてください。うんと嫌いになって、うんと好きになって、うんと感動して、うんとうんざりして、うんと泣いて、うんと笑って、優しくきつく、抱きしめて抱きしめられて、今しかない時を過ごしてください。

 子どもたちは、見ています。言葉にはならなくても、この嵐のような日々をみんなして乗り切ったことを、子どもたちはちゃんと分かっているのです。答え合わせは、もうちょっと先。今から何年もたって、彼らが自分の世界を持ち始めた頃に、ふとした言葉やまなざしでそうと示してくれるでしょう

 子育ては最高にクリエイティブで濃密な経験です。どうか読者の皆さんの毎日にたくさんの笑顔と新しい発見がありますように。長い間、ありがとうございました。ではまたどこかで!

(タイトルバナーの写真/稲垣純也)