女の子だけでなく、男の子にも

 以前、子どもの性虐待に関する専門家と話していて印象的だったのは、被害に遭わないように言い聞かせていた親が、いざわが子が被害を訴え出ると反射的に怒ってしまうことが多いということ。「どうして気をつけていなかったの?」と責めるのではなく「よく話してくれたね。嫌だったね、あなたは悪くないよ。私がそばにいるから大丈夫」と伝えてあげることが大事なのだそうです。

 被害に遭わないようにするために「そんなにスカートが短いと狙われる」などと言いがちですが、これも性的な暴力を受けたのは被害者に隙があったからという言説を強化してしまいかねません。それでも心配なのが親心ですから、「どんな服装をするかはあなたの自由だけど、それを性的に奔放であると一方的に読み取って体に触れようとしたりセクハラをする人間も世の中にはいる。そんなときには断固としてNOと言っていいし、すぐに助けを求めるのだよ」という言い方なら、いいのかも。

 そうそう、男児にも必要だということを忘れないでくださいね。私は息子たちに幼いころからずっとこのようなことを伝えてきました。男児も被害に遭うし、男児だからこそ言い出しにくいこともあるでしょう。また、ゆくゆくはパートナーとの間での性的同意についても知る必要がありますから、誰も他人の身体を一方的な力関係や思い込みで好きにすることはできないのだと教えておくことは重要ではないかと思います。

 さて、「あなたはNOと言っていい」。大人のあなたはまず誰にNOを言いますか。これが浸透したら、世の中が一気に変わるかもしれませんね!

(タイトルバナーの写真/稲垣純也)