今日も怒ってしまった……。イライラして、つい「急いで!」と子どもに怒鳴ってしまう朝時間。悩みが多いのは日経デュアル編集部のママ記者も同じです。そこで特集第4回では、朝時間に悩んでいる2名のママ記者が朝時間の改革にトライしました。さらにママからのレポートに対して、アドラー心理学に詳しい、株式会社子育て支援の代表取締役、熊野英一さんがアドバイス。2組の親子はどのように変わっていったでしょうか?

【今年こそは、ノーモア「急いで!」朝の時間改革 特集】
第1回 朝は時間との戦い!子どもの時間の概念、親とは違う
第2回 もったいない!“朝ぼぉ~”時間はなぜ起きる?
第3回 朝食・着替え・朝学習 朝の悩みをトヨタ式で解決
第4回 編集部員たちが実践!朝のイライラがなくなった! ←今回はココ
第5回 朝時間をスムーズにするお助けグッズ&アプリ

編集部員Oさんの悩み 「小3息子の朝のダラダラ時間を改革したい!」

 Oさん一家の小3息子は早起きが結構得意で、6時ころに自力で起きます。でも、その後の過ごし方が課題です。放っておくと好きなだけパソコンでYouTubeを見てしまうという癖があるのです。見かねたOさんが7時ごろ、「H君、宿題は?」(H君は朝、学校の宿題をします)と声を掛けると、ダラダラ過ごしながらもやっと7時20分ごろにノートを開き、10分程度で終わらせて、朝の勉強はおしまい。その後の時間は台所の手伝いをしたり、1歳の妹のお世話をしたりしながら、自分の身支度は後回し。朝食を食べて、ハイパースピードで着替えて、髪を直して、歯を磨いて、学校にダッシュします。学校が近所なので、全力ダッシュして1~2分で到着します。

 
熊野さんからのアドバイス
「やることをやって、遅刻せずに登校できている時点で花マル!」
 Oさんは不満があるようですが、息子さんの行動だけを見れば、結局宿題もちゃんとやって朝食も食べて遅刻せずに学校に行けていますね。息子さんは十分、自分の朝時間をマネジメントできているし、彼はそのことを理解しているはずです。親はとかく理想を追いがちで、Oさんも、「毎日同じ時間に起きて、すぐに勉強に取り掛かり、余裕を持って家を出てほしい」なんて思っているかもしれませんが、そんな理想は捨て、お子さんが自分なりに心地よい朝時間を過ごせることに集中しましょう。

Oさんの行動変革その1 息子と朝時間についてゆっくり話す

 Oさんはある日、「H君、今日は折り入ってお話があるんだ」と切り出しました。「いつも、朝、『急いで急いで』と言ってしまってばかりでごめんなさい。ママもやるべきことが多くて、ついH君に無理を言ってしまっていたよね」。H君は「どうしたの、急に」という表情でOさんの顔をみつめます。「実はね、これから家の朝の時間の過ごし方をもっとよくしたいな、とママは思っていてね、H君はどうかな?と思って」と聞くと、H君は「急にそんなこと聞かれても……」という少し面倒くさそうな顔つきをしながら、「えーっと……確かにママに怒られるのではなく、自分できちんとやれるようになりたい」と話し出しました。

 じゃあ、具体的にどうすればいいのかと話していくにつれ、H君が朝起きてから夜寝るまでの時間の流れを正確には把握できていないという問題が判明しました。そこで、OさんはH君にバーチカルタイプの手帳をプレゼントし、H君が自分で翌日のスケジュールを立てることにしました。その翌日から、H君の行動が早速以前より少しスムーズになったようです。

 そのほか、今回の特集で得た学びを生かし、Oさんが行動を変えたことにより、朝時間はより快適になってきました。以下がその内容です。

熊野さんからのアドバイス
「子どもと1対1で話す」
 家族会議も大事ですが、親子1対1で話をすることもとても重要です。きょうだいがいる子は特に、「お姉ちゃんと比べてあなたは」「妹と比べてあなたは」と相対化することなく、「あなたはあなた」というスタンスでじっくりその子だけと対話することを意識しましょう。また、「こうなってほしい」という親の下心はすっかり捨ててからその対話に臨んでください。少しでもそういう思いがあると、子どもはすぐに気付いて本音の対話が難しくなってしまいます。
<次のページからの内容>
● Oさんの行動変革 教材を子ども好みのものに変える
● ルーティンに縛られない
● Tさんの悩み 「小1長女の朝のぼ~っとテレビを改革したい!」
● どうしたら7時に起きられるか娘に考えさせた
● 娘のアイデアが実行できるように手助け
● 「お支度ボード」で朝のルーティンを「見える化」した
● Tさんの失敗 娘を信頼できていなかった
● 親は先走らず子への「信頼」と「共感」を大切にしよう