すぐ食べられるタンパク質を常備しておこう

 それからタンパク質ももう少し欲しいところです。

 皆さんが常備しているタンパク質食材って何でしょう。チーズ? 豆腐? 卵? 納豆? それともハムでしょうか? 子どもが好きなものを足してあげるといいですね

―― どれかは、冷蔵庫にありそうです。でも卵は朝ごはんのイメージなのですが。どうやって食べたらいいですか?

上田 卵はハードルが高いですか? 簡単です。小ぶりのどんぶりに割り入れ、ほぐしてレンチン20秒。いったん出して、牛乳とバターを入れてグルグル。余熱で固まってスクランブルエッグが完成です。インスタントみそ汁を2~3人分小鍋で作って、とき卵を入れたら、かきたま汁になります。

 我が家の冷凍庫には魚がいつも入っています。季節によって、サンマやホッケ、アジの干物、鮭など。魚焼きグリルに入れるだけなので、お肉よりも手間いらずでいいですよ。

 しらすは凍ったままでもアツアツごはんにまぜればOKです。納豆に混ぜてもいいですね。丸ごと食べるのでカルシウムが補給できます。

 それからインスタントみそ汁は、塩分がちょっと濃いめです。お湯を多めにして薄く作り、少量をあげるなど、濃さを調節してくださいね。買い置きで豆腐があれば、パックの中でさいの目に切って、追加すると味が薄まります。作った味噌汁を全部あげると薄めた効果がないので、量を調節するのを忘れずにね。

時間は大切。でも週の半分以上は栄養バランスと適量を意識しよう

 私もかつて綱渡りの毎日でしたので皆さんの気持ちは分かるのですが、「鮭フレークごはんとインスタントみそ汁」献立はあくまで緊急用にしてほしいです。離乳食が終わるとホッとして、つい簡単にしたくなりますよね。しかし、幼児期も体や脳がグングン育つ時期です。厳しいことを言うようですが、週の半分がコレになると、栄養が不足してしまうんです。

―― 「鮭フレークごはんとインスタントみそ汁」になってしまったとしても、冷凍野菜を1種類追加して、冷蔵庫のチーズやハムを添えればいいんですね。それからインスタント味噌汁は薄めに作る。これなら10分以内でできそうです。電子レンジを使えば、火も使わずにできますね。

 ところで「栄養」について、共働きのママ・パパは最低限どんなことを気にすればいいのでしょう。家で食べさせる適量はどのくらいですか?

上田 基本はごはんやパン、めんなどの主食、メインおかずとなるタンパク質、そして野菜をバランスよく食べることです。保育園の献立表などには赤(主食)、黄(タンパク質)、緑(野菜)とあらわされているので、年長さんくらいになると子どもも理解していると思いますよ。一日の内訳は、朝ごはん25%、昼ごはん30%、夜ごはん30%、おやつ15%です

 つまり、保育園でしっかり食べていても、家庭での割合が半分以上ということ。不足しやすいのが緑の野菜です。だからこそ、市販の冷凍野菜を賢く使って補うようにしましょう。

 以前、栄養相談でこんなことがありました。2歳のお子さんを連れたママが「この子、食が細いんです」というのです。

 「どのくらい食べますか?」と尋ねたところ、2歳児に相当する分量は食べています。そこで、「どうして少ないと思うのですか?」と聞くと「私と同じだけ食べない」とそのママは答えたのです。

 これはちょっと極端なケースです。逆にとても少なく考えている人もいます。大人は意外と子どもの適量を把握していないものなのですね。どのくらいが適量かというと、
1~2歳児はお母さんの半分くらい。
3~5歳児はお母さんの2/3くらいです

 幼児さんは個人差もありますが、まだ食具(スプーンやフォーク、お箸)を使うのがスムーズではありません。つまり、食べるのに時間がかかります。ノンビリしているからもういらないのかと思って「おしまいね」と下げてしまったら、「本当はもっと食べたかったのに」ということもあり得ます。

 ですから、「21時までに寝かせたいからごはんの準備は10分で」という事情があるにしても、食べる時間は20分くらい(せめて15分)は取ってあげてください。せかすようにして、お茶で流し込んだりすると、この時期に大切な「かむ」練習になりませんし、大きい塊がのどに詰まる危険もあります。

幼児は食べるのに時間がかかる。自分で食べたいという意欲は大切にしつつ、飽きてきたら手を貸そう
幼児は食べるのに時間がかかる。自分で食べたいという意欲は大切にしつつ、飽きてきたら手を貸そう