片づけでレギュラー番組も決まった

 その片づけ上手が役立つときが来たのが、今から10年前のことです。僕は「ますだおかだ」というM-1グランプリでも優勝したコンビに憧れて、同じ松竹芸能という事務所に入りました。ますだおかだのお二人がマイク一本のしゃべくり漫才で勝負しているのがカッコよくて、いつか自分もああなりたいと思って必死に頑張りました。

 漫才の新人賞もほとんど受賞し、関西ではそれなりに評価もされたのですが、いまいちブレイクというまでには突き抜けない。もっと売れたい、売れるはずなのに、という葛藤もあり、喋りだけで勝負するのは難しいのかなと思っていたときに、世の中に「キャラブーム」が来たんです。いわゆる“◯◯芸人”というやつですね。

 でも、自分にはギャグもキャラもないし、特に歌やモノマネがうまいわけでもない。ただ、芸人になってから、唯一イジられていたのが「片づけ」だと気付いたんです。芸人仲間からよく「あいつの部屋はいつも気持ち悪いくらいキレイや」と言われていて、テレビ番組のドッキリで、自宅に帰ったら部屋の中がグチャグチャになっていたこともありました。そういうイジりを受けることが度々あったので、「自分にはこれしかない」と思ったんです。

 当時は、野球の斎藤佑樹選手の「ハンカチ王子」やゴルフの石川遼選手の「ハニカミ王子」など、“王子”が流行っていたので、それに乗っかって「収納王子」と名乗ることにしました。「王子と言ったら衣装は白かなぁ。収納らしい服装と言えばつなぎやな。でも王子なんやからプレスリーみたいに細身にしてハットをかぶって、つっぱり棒も持ってみよう」といった具合に、見た目を決めていきました。

 そして、当時数少ない整理収納系の資格の一つだった「整理収納アドバイザー」の認定講師の資格も取得。自分で講座を開いて500人の生徒さんを抱えたときには、もう片づけのことなら10時間以上喋れるようになっていました。「収納王子」としてもテレビに呼んでもらえるようになって、「笑いを交えながら面白おかしく片づけする変な奴がいるぞ」と話題にしていただけるようになったんです。

 そんなころ、出版社の学研さんから「ムック本を出しませんか?」という打診を受けました。売れない若手芸人にとって、自分の本を出せるなんて夢のまた夢ですから、二つ返事で飛びつきました。そうしたら、これが予想以上にハードで、朝から晩まで学研さんのオフィスに軟禁状態(笑)。必死で何十個とネタを考えて、ビフォーアフターの撮影も何十回も、半年間みっちりやりました。でも頑張ったかいあって、その『収納王子コジマジックの100円グッズ・カラボ・スノコで絶対片づく!収納600』というムックは20万部の大ヒットになりました。

 それが名刺代わりとなり、レギュラー番組や帯番組の司会も決まったりしていきました。だから、「片づけに出合ったら人生が変わる」と僕はあちこちで言っていますが、僕の人生は36歳のとき、本当に片づけで人生が変わったんです