現代は飽食の時代ならぬ、“飽物”の時代

 これは何事にも通じます。私にはこれだけ服があればいい、それならハンガーはこれだけあればいい、という具合にすれば、ハンガー以上の服を買わなくなる。冷蔵庫の中にしても、消費期限の過ぎた食材を腐らせてしまうというのは昔から変わらない主婦の悩みですが、まずは自分たちのライフスタイルに合った適正量を導き出すことが、これからの時代は大事になってくると思います。

 昔はモノが少なかったから、大切に使いましょうと教えられていました。でも、今は飽食の時代ならぬ、“飽物”の時代。モノがあふれ過ぎていて、何が本当に大切なモノなのか分からない時代に突入しています。片づかないことに悩む人が後を絶たないのは、こうした時代の影響も大きいと思います。

 もちろんモノを大切にしましょうという考え方も大事ですが、今の時代に合った片づけ方法を学び、情報をアップデートして、取り入れていく必要もあると思います。

 最後に、これからの僕のビジョンについてお伝えしたいと思います。ここ数年の片づけブームで、世の中の皆さんにはずいぶんと興味を持ってもらえたと感じていますが、まだまだ十分とは言えません。日本では、片づけはいまだに女性の家事の一部と考えられている部分もあり、その意識を改革していく必要も感じています

 また、ブームが広がったことで片づけに関する団体も増えたのですが、実はそれぞれが様々な片づけ方法を推奨していて、片づけ業界自体がとっ散らかっていることに気付きました(苦笑)。片づけ業界が一丸となって、もっと効果的に片づけを広めていくために、2018年に「日本片づけ整理収納協議会」という団体を立ち上げました。片づけ業界を一つにまとめて、みんなで普及していけたらと考えています。

2018年に発足した「日本片づけ整理収納協議会」
2018年に発足した「日本片づけ整理収納協議会」