叱る言葉は頭の中でポジティブ用語に変換を

 ちなみにわが家はダイニングテーブルの近くに可動式の3段ワゴンを置き、お勉強やお絵描きセットをまとめてしまっています。学習するときはそれをコロコロと持ってくればすぐに始められ、後片づけも簡単。また家族でパーソナルカラーを決めていて、お兄ちゃんがグリーン、妹はピンクなんですが、色分けされているとパッと見て「これは僕の!」とか「これは私の!」など、本人たちも分かりやすいようです。自分の持ち物が増えてくるとともに、自分のスペースや自分のモノがはっきり分かるような環境をつくると、モノを大切にする気持ちも芽生えてくるんです。

 仕組みづくりが済んだら、声の掛け方にも意識を配ってみてください。せっかく仕組みをつくったのに、子どもがうまくできないとつい「片づけないなら捨てるよ!」などと声を荒らげてしまう親御さんは少なくありません。僕も親なのでイライラする気持ちは本当によく分かりますが、なるべくポジティブな言い方を心掛けてください。「なくなっても知らないよ!」ではなく、「片づけたら明日すぐに遊べるよ」と言うだけで、子どものやる気は全然違ってきます。

 僕の息子は発達障がいがあり、一度機嫌を損ねてしまうとなかなか思うように事は進みません。ですから言葉の使い方一つでも注意し、「こう言いたいけど、どう伝えたらいいかな」と一瞬考えるようになったんです。頭ごなしに叱るのではなく、ポジティブ用語に変換しようというのは、息子と接する中で学んだこと。言葉の使い方一つで、片づけが好きにも嫌いにもなりますから、声掛けも意識してみてください。

取材・文/宇野安紀子