子どもに「片づけなさい」はNGワード

 僕が講座でまず伝えるのは、「子どもに片づけなさいと言わないでください」ということ。片づけというのは総称で、正しく分類していくと「整理→収納→整頓」の順序があります。それをきちんと理解せず、とりあえず「片づけなさい!」と言っても、子どもはどうしたらいいか分からない。使ったモノを元に戻さなきゃいけないのは分かるけれど、元の位置がきちんと定められていないのに「片づけなさい」と言われるから、とりあえずモノを隠して片づけたように見せる。隠すからなくなる、探すから散らかる。この悪循環で、いつまでも家が片づかないんですね。

 だから、子どもが自分で片づけられるような仕組み作りをするのがファーストステップです。そして、子どもが自分で片づけられるような仕組み作りをしてあげましょう。仕組みがなかったら子どもは片づけられないですから。

 そして、片づけがちゃんとできていると、掃除もすごくラクになります。片づけに「大変」「面倒臭い」とネガティブなイメージがあるのは、掃除しながら片づけを一緒にやろうとしているから。仕組み作りがきちんとできていれば、片づけも掃除もうんとラクになり、時短にもつながります。

 仕組み作りは、子どもの年齢によって変わってきます。片づけのステップは「出す(モノを一度すべて出す)→分ける(「使っているモノ」「使っていないモノ」に仕分ける)→しまう(「使っているモノ」だけを使いやすい場所にしまう)」の3段階ありますが、僕が自分の子どもに教えていても、未就学児が「分ける→しまう」を理解するのはすごく難しいと感じます。では、小さい子にはどう教えるかというと「出したら、戻す」を教えるんです。これなら1アクションでできますよね。

 なぜ「しまう」ではなく「戻す」のかというと、しまい方は答えがたくさんあるけれど、戻すなら1アクションで、小さい子でもできるから。それができるようになったら、小学生くらいからは「出す→分ける→しまう」を教えていくといいですね。

 片づけをまだ理解できないような赤ちゃんのうちからでも、収育は始められます。同じ形に開いた穴にブロックをあてはめていく知育玩具があると思いますが、あれも「分ける」訓練をしているわけです。そういうことに気がつくと、玩具選びも違ってくるかもしれません。

 より細かなテクニックは次回以降にお伝えしますが、大事なのは子どもが自発的に「やりたい!」と言い出すように促すこと。そのためには、まず親が、できる範囲でいいから自分のモノを片づけてみてください。子どもは親のやることをマネするので、子どもに片づけてほしいなら、自分がまず片づけること。何事でもそうですが、いくら人から「やりなさい」と言われてもダメ。結局は自分から「やる」と言わない限り、人は絶対に変わらないんです。

 だから、子どもが「僕もやる!」と言ったときは、めちゃくちゃチャンスです。そこで、「じゃあ、こうやったらいいんじゃない?」と、楽しく伝えてあげられるように、仕組み作りを学んでおくといいと思います。

(取材・文/宇野安紀子)