私は子どもの頃からずっとお絵描きばかりでした。でも子どもたちはそういうものはないかな。コウは何かものを作るのが好きですが、ヒロはふざけているユーチューブを見るのが一番好きです。もしユーチューバーになりたいって言いだしたら? 自分で発信したいことがあるなら別にいいと思います。

 ただ、子どもたちが夢中になって見ている動画って、ちゃんと作品として作り込まれているんですよね。しゃべりの面白さとか、編集能力とか。だから結構大変なことだと思います。ただ動画を撮って公開するのは誰にでもできるけど、それじゃ人気は出ない。マンガ家も同じですね。誰でも描けるけれど、売れるかどうかはまた別の話です。

仕事の邪魔をしてきた息子たちも、今や「邪魔しないで」

 子どもができてからは、規則正しい生活になったかなと思います。以前は徹夜で仕事をすることもあったし、好きな時に寝て起きる生活でしたが、今はNHKの朝ドラまでには起きますし、仕事も基本的に10時から5時までと、時間を区切ってやるようになりました。5時ごろには仕事を切り上げて、ビールを飲みながらご飯を作ったりして。で、子どもたちが帰ってきたら宿題を見て、ピアノの練習を見て、一緒にご飯を食べたら後はお互いに自由時間です。

 子どもたちは9時半に寝るまでの1、2時間に何をするかを考えることで頭がいっぱい。「邪魔しないで」っていうくらいです。小さい頃は忙しい時に仕事場に入ってこられて大変でしたが、今は自分の世界に夢中で親のことなんか気にしちゃあいない。「ママがいなくてもいいのね」みたいな気持ちになって、それもまた悲しいものです。

今月のPOMのつぶやき

 子どもたちが9時半に寝て、さあ映画でも見ようかと思うけど、10時には眠くなってしまいます。1作品観るのに約4日かかります。

取材・構成/谷口絵美

二ノ宮知子

二ノ宮知子

1989年に漫画家デビュー。2004年に『のだめカンタービレ』で第28回講談社漫画賞少女部門を受賞。同作はドラマ化、アニメ化、映画化され、一大ブームを巻き起こした。二人の息子の「ダメママ」ぶりと夫・POMさんの「スーパーパパ」ぶりを描いたコミックエッセー『おにぎり通信』(集英社)は全3巻が発売中。現在は月刊Kiss(講談社)で『七つ屋志のぶの宝石匣』を連載中(4月25日発売の6月号から連載再開。単行本は既刊8巻)。