夢中になっていることを親が後押しすると、急に冷める

 子どもたちが好きなことは何かなっていうのは観察しています。でも、「〇〇が好きだ」って言って夢中になりだしたことを親が後押しすると、二人とも急に冷めたりするんですよね。変に買いそろえたりするとやらなくなる。そういうのはしょっちゅうです。

 前に、割り箸で手作りの飛行機を作ったことがあって、うまく飛ばなかったんです。それで、クラフト系の飛行機のセットをプレゼントしてみたら、全然やりませんでした。プラレールも、すごいのを作ってほしいと思って増やしたら、急にやらなくなった。夢中になっているからって、手助けしないほうがいいみたい。「足りないくらいがちょうどいいんだ」っていうのは学びました。

 私も子どもの頃からお絵描きだけはずっとやっていたので、何か一つくらいしつこくやるものがあればいいかなと思っています。やっぱり夢中になると、すごい集中力を発揮して進むところがあるもの。人は結局、嫌なことはやれないものだと思うんです。私は死ぬほど嫌なことからは逃げていいって言いましたけど、夢中になれるものに取り組む過程で苦しいっていうのは当然ありますよ。好きだからこそ、苦しくても頑張れる。

 ただマンガなんかは、嫌で仕方がなくて苦しくてもちゃんとできる人がいるんですよね。でも私は本当にダメだった。本当に悪いマンガ家なんですけど、逃げちゃったことがあります。

 若い頃は、編集者さんから提案されたテーマで作品を描いたりすることがあったんですね。それで、あんまり描きたくないものを始めてみたものの、どうしても描けなくなってしまった。それで、連絡を絶ちました。