人の話をフラットに聞く

―― そのノートを読み返すことはあるんですか?

野田 あります。爆笑します。10年前に私が外務大臣にしたかった人は、今や天敵とかね(笑)。いろんな変化もあれば、変わらないところもありますよ。

 自分のキャパシティーにはどんなに頑張っても限界がある。だから「頑張れば頑張っただけ、人より優位に立てる」という発想を持たないようにしています。生き方も考え方も違ういろんな人と出会ってフラットに話を聞く。例えば、私はパクチーが嫌いだけど、パクチーが好きな人と話をすると、なぜパクチーが好きかという歴史を聞けます。そうやって自分の知らない、人の話に最大限関心を持つことで、自分のものよりも幅広なコンセプトに触れることができます。

 国会議員として今まで何本か法律を作ってきましたが、自分の中で考えていたものを法律にしたことってないんですよ。出会った人に「こういう法律を作ったほうがいいんじゃないか」と言われて作業を始めるんです。仕事ってそういうものじゃないでしょうか。

 何でも自分で考えて形にするのが大切だって思ってしまうとやっぱりつらいから、人のせいにしてしまう。ずるいかもしれないけれど、いかに人様をあてにするかということですね。できないことを知ったかぶりせず、分かる人に力を貸してもらうのが一番合理的だと思うんです。

 ――次回へ続きます!

(文/谷口絵美 写真/花井智子)