モチベーションを維持するスケジュール技

榎戸教子さん(日経CNBCキャスター、以下、――) まずは仕事、キャリアをテーマにお話を伺っていきたいと思います。いつもエネルギッシュなイメージの野田さんですが、モチベーションを高める秘訣などはあるのでしょうか。

野田聖子大臣(以下、野田) 一つ実践しているのは、自分でスケジュール管理をすることです。今も秘書さんたちがたくさんいますが、各方面から入ってくる日程をどう組むかは全部自分で決めています。なぜかというと、自分でやりたいと思う仕事なら何時間やっても疲れないけれど、人に言われてやらされる仕事は10分でもしんどいから。

 イー・ウーマンという会社をやっている佐々木かをりさんが作った手帳があって、一週間の予定が朝から夜まで30分刻みで書き込めるようになっているんですね。いろんなリクエストが来たら、自分でチェックしてそこに埋め込んでいく。

 例えば、18時半から会合や会食がある日に仕事が入ってきたら、近い時間帯の18時や17時半からというように予定を積み上げていきます。極力スケジュールを圧縮させて、午前中を空けるようにする。逆に朝一番で予定が入ってしまった場合は、極力その日に来た仕事は朝の予定にくっつける形にします。

 あとは自分のバイオリズムを考えて予定を組み立てるのもポイント。夜に飲む機会が多いのですが、「この人は一緒に飲んでいて楽しい」「この人は…うーん」とか色々あるわけです。そういう「いい」と「悪い」をうまく組み合わせて、気の進まない酒席があるときは次の日を空けて体を休ませたり、「いい仕事」を持ってきたりします。

 そういうのは長年連れ添った秘書さんでも分からないので、自分でモチベーションを下げないようにする。それでバランスが取れているのかなと思います。

―― これまで大臣を歴任されていますが、キャリアを実現するために、若いうちから心がけておいたほうがいいことはあるでしょうか。

野田 私が心がけてきたのはただ一つ、「人の話を聞くこと」。中曽根康弘という90歳を超えた大政治家がいまして、私が約25年前に初当選したときに初めて出会った大物議員がその中曽根先生でした。当時32歳で右も左も分からない新参者の私に、中曽根先生は「まずは総理大臣になるという目標を立てて、そうなるためには何をしたらいいかということを思いなさい」とおっしゃった。

 皆さんの場合だったら会社の社長とか、今いる場所で一番上になることを思う、妄想するだけでいいんです。それをいつも考えながら、いろんな人に出会って面白い話を聞いたりしたときには、必ずノートにつけていきます。自分が総理になったら、この人を外務大臣にしようとか、この人を厚生労働大臣にしようとか。そういうのをその都度書き込んで、どういう仕事をしていこうとか考えます。

 そういう雑記帳を持つんです。国会でカップラーメンの値段を聞かれて答えられなかった人がいましたが、物の値段から何から何まで、気になったことは1冊のノートに書きなぐっていく。それをずっと積み重ねていった結果、点が線になり、線が面となって、いろんな法律の土台になったなというのは感じています。