日経DUALの創刊から4年。これまでウェブでよく読まれた人気記事や注目連載陣によるコラムを全120ページにたっぷりと詰め込んだリアルマガジン『日経DUAL Special!』が登場しました! 子どもの教育、英語、学力、受験、お金、家事代行、保育園、学童、しつけ……など、子育て中のママ・パパが気になるテーマについて、それぞれの分野の専門家や企業に取材した骨太な記事ばかりです。
 DUAL編集長の羽生、『日経DUAL Special!』をまとめた編集・片野が、各特集の担当記者と一緒に特集の見どころを振り返るシリーズ第3回は「子どもの英語学習スタート!」特集。「英語教室に通わせるかどうか」「通わせるなら、どこ?何歳から?」とお悩みの方へ、教室の選び方や活用法についてお伝えする特集です。

■第1回の記事
“教えない”早期教育を脳科学者らが勧める理由

■第2回の記事
ワンオペ育児から抜け出したい…諦めない・交渉する

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どこにゴールを置くかによって学び方は変わる

羽生(以下、羽) 小学校から英語教育が始まることもあってか、子どもに英語の習い事をさせているという家庭は多いですね。

片野(以下、片) DUALが昨年開催した英語セミナーへのリアクションなどを通しても、英語教育が大きな関心事になっているのを感じますね。DUALでは過去に2回ほど、英語教育に関する大きな特集を組みました。それをまとめたのが『日経DUAL Special!』の特集です。数ある子ども向け英語教室を、「大手英語教室」「ホビングリッシュ+独自性の高い小規模英語教室」「オンライン英会話」「インターナショナルプリスクール・英語学童」の4タイプに山田記者がまとめてくれました。

山田(以下、山) はい、英語教室の選び方として大事な点は「具体的な目標設定とゴールである」と、取材を通して感じました。ある英語教育コンサルタントに話を聞いたところ、「本当に英語を話せるようにしたいと思うのであれば、目標設定が重要。ゴールをどこに置くかによって学び方は変わるからです。例えば、バイリンガルにしたいのであれば、脊髄反射で話せるような学び方にしなければいけません」と話していました。また、別の英語教室の運営者は「子どもが英語嫌いにならなければいいという家庭もあれば、バイリンガルに育てたいという強い意志を持つ家庭もあって、英語教育に関する考え方は様々。それぞれの教室の特徴を理解して、一切を教室に委ねるのではなく教室を“活用”し、家庭でもある程度努力をすることが英語スキルアップには欠かせません」と言います。

 英語を習いに行くだけで身に付くということはまずないんですよね。

 そうなんです。前提として「英語教室や英語レッスンは家庭で英語を習得していくために“活用”するもの」と捉えなくてはいけないんだなと思いました。そんなことを念頭に置きつつ、共働き家庭が英語を学ばせる場合は時間、価格、場所などが重視されることから、「大手=教室数の多さ、教材・授業、教師・講師の質が安定」「オンライン=送迎いらずで時間も選びやすく、マンツーマンでも安い」「ホビングリッシュ=実践に近い英語が身に付く一石二鳥」「インターナショナルプリスクール=費用も時間も厭わず、ひたすら脊髄反射の英語力を目指す」と分類しました。

 【大手英語教室】

 最大のメリットは、全国展開しているところもあるなど教室数が多いこと。自宅から近い所で大手教室ならではの質が保たれた授業を受けることができます。

 共働き家庭にとってレッスンを受けやすい週末クラスが用意されている、カウンセラーが英語学習の進め方についてこまやかにフォローしてくれる、講師の質が安定しているなど、充実したサービスを受けられるのも特徴です。

 一方で、月謝性を採る教室が増えてはいるものの、年度の途中でやめづらい料金やカリキュラム設定になっていることはデメリット。また、同じ曜日・時間の授業を受けられることが多いですが、それはリズムを作りやすくなるというメリットがある一方で、他の予定が入ったときに振り替えられないというデメリットにもなってしまいます。

 「教室に通った(親は通わせた)だけで英語を習った気になる」傾向もあり、自宅学習を十分にしない子どもが少なくない点は、デメリットといえるでしょう。

(『日経DUAL Special!』P41)

ゴールをどこに置くかによって英語は学び方が変わる
ゴールをどこに置くかによって英語は学び方が変わる

親はどう関わればいい?

 大手教室では講師採用基準が明確な点、研修をしっかり組んでいる点で、改めて安心感があるなと思いました。一方で、小さな教室にも丁寧に子どものタイプや能力に合わせて学べるメリットがあると感じています。そもそも子どもの能力を伸ばすために必要なのは、一人ひとりに合ったカリキュラムです。マンツーマンがいいというのでは決してなく、カリキュラムがその子のレベルに合っているかを重視する必要がある点では、大人の英語とあまり変わらないと思いました。

 「インターナショナルプリスクール・英語学童」の取材でも、カリキュラムやレベルに着眼することの大切さを専門家は強調していました。特に慣れない英語漬けの環境だと、それって軽視できないポイントですよね。

 【インターナショナルプリスクール・英語学童】

 見学や説明会に行った際、親が注意すべきポイントを、長年、乳幼児が外国語を学ぶ過程を研究してきた玉川大学大学院・佐藤久美子教授に聞いてみたところ、挙がったのは「教育のカリキュラムがしっかりしているか」「学年別にクラスが分かれているか」「ルールや基準が家のしつけと合っているか」「子どもの英語力とクラスのレベルが合っているか」の4つ。

 また、先生の質を見極めることも重要で、「ネーティブスピーカーの先生がいればいいか、というとそうでもありません。それよりもしっかりと子どもを見られる教育者としての素質があるかどうかです。日本人のサポートがあったほうが、特に年齢の低い子は安心できるということもあります。なるべく英語だけの環境にいることも大切ですが、ネーティブや西洋人にこだわる必要はありません」

 一方で、いざ入学しても、子どもの反応がいまひとつ…ということもあるかもしれません。そんなとき、親はどうすればいいでしょうか? 親が気付くべき危険ポイントとして、佐藤さんは「親だけが熱心になる」「子どもが疲れ過ぎている」「先生やクラスメートと相性が良くない」の3つを挙げます。

(『日経DUAL Special!』P46)

 佐藤さんは他にも重要なことを言っています。「子どもの性格やタイプ、好き嫌いは本当に千差万別なので、合うか合わないかは、親がしっかりと見てあげるほかありません。学習環境がその子に合わなければ、かえって英語嫌いをつくる危険性があります。一番大切なのは、まず親が英語を好きかどうか。そのうえで、子どもが英語に興味があるかどうかがポイントとなります」と。

 親の関わりは必須事項ですね。

 「自宅でどれくらい、英語に触れさせる時間があるかが重要」と先のコンサルタントや教室運営者も話していました。子どもを楽しませよう、英語を好きにさせようと、家庭で盛り上げることが大切みたい。うちは子どもを大手教室に通わせ始めましたが、「教室だけで何かを身に付けさせるのは不可能」と実感し、家でも繰り返し英語絵本のCDを一緒に聞くようにしています。あまり頻繁にはできていませんが。

 日常で実践しているのですね。

 別の取材で通訳者の川合亮平さんが「英語は読まないと読めるようにはなりません。厳密に自分の中を通ったワード数に比例して英語読解力は上がっていきます。つまり、読めば読むほど上がるんです」と話していたことも印象的だったんです。大変そうですが、できるだけ子どもと一緒に楽しもうと思っています。

 一方で、親が関わっても、子どもに疲れている様子があったり嫌がっている様子があったりするなら、あっさりやめてしまったほうがいいそうですね。

 習い事関連すべてについて言えることですが、特に英語は「必要だから」と、やめてしまうことに勇気が要る家庭が多いのではないでしょうか。わが家もそうです。でも、イヤイヤやって身に付くことってまずないですもんね。

 そこをやめても、別の先生やスクールなら相性が良くて英語が大好きになる可能性だってありますからね。ぜひこのチャンスに「わが子の英語教育のゴールはどこに設定するか」を家庭で話し合ってみてください。

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(イメージカット/鈴木愛子)