日経DUALと日本経済新聞社はこの度、共同で「自治体の子育て支援に関する調査」を実施。その結果をもとに「子育てしながら働きやすい都市」をDUAL・新聞独自の指標でランキングしました。

 2018年度に68点を獲得し、東京以外の地方自治体として初の「総合編」1位(東京都新宿区と同点首位)に輝いたのは、栃木県宇都宮市。産後の母親が4月以外でも復職できるように保育所の0歳児クラスの利用枠数を4月の申請児童数の2倍近く確保し、看護師による送迎サービス付きの病児・病後児保育施設を設けるなど、栃木県宇都宮市の子育て支援の充実度合いは、思わず「うらやましい」という声が漏れてしまうほど。佐藤栄一市長に、同市が子育て支援に注力する理由を、街づくりの指針と併せて詳しくお聞きしました。

【共働き子育てしやすい街ランキング2018】
(1) 共働き子育てしやすい街2018 総合ランキング
(2) 自治体調査 保育無償化は待機児童問題に大きな影響
(3) 共働き子育てしやすい街 上位50自治体と東京分析
(4) 地方自治体躍進の理由は? 全国編詳細リポート
(5) 2度目受賞の新宿区長「育児に社会的支援は不可欠」
(6) 病児を看護師が迎えにいってくれる街、宇都宮市 ←今回はココ

「ネットワーク型コンパクトシティ」構想の下、子育て支援を推進

日経DUAL編集部(以下、――) 「共働き子育てしやすい街」でグランプリを獲得されました。まずは感想をお聞かせください。

佐藤栄一市長(以下、敬称略) 現場からの反響や市民の声に耳を傾けながら、職員一丸となって取り組んだ成果が評価されたことはとてもうれしいです。自分たちの取り組みが、他の自治体と比べてどの程度のものかということは、普段知り得ないことなので、今回外からこのように評価していただけたことは大変貴重な経験です。やってきた内容が的を射たものだったと受け止め、これからも自信をもって、政策を推し進めていきたいと思っています。

「重要なのは、宇都宮が住む人にも、企業にも選ばれる街であること。そのための重要な施策として子育て支援に力を入れています」と話す宇都宮市の佐藤栄一市長

―― 市長にご就任当初から「子育て日本一を目指す」とおっしゃっていたそうですね。

佐藤 はい。背景にあるのは深刻な少子高齢化です。現在宇都宮市の人口構成は4人に1人が65歳以上で、現役世代3人が1人の高齢者を支える構造となっています。もし、このまま何もしないでいたら、やがて1人の現役世代が1人の高齢者を支えるという、肩車型の人口構成になるのは明らかです。3人で1人を支える現在ですら大変なことを考えると、将来、肩車型社会を生きることになる今の子どもたちは、いずれ心が折れてしまうのではないかと危惧しています

 こうした状況を食い止め、社会が機能する仕組みを作ることこそが我々世代の仕事だと思いますので、次世代に財産を残す気持ちで街づくりに取り組んでいます。そのうえで、街づくりの要は「街の将来を担う人づくり」と考え、子育てを宇都宮の最重要課題とし、市の総合計画においては子育てを一番の柱と位置付けています

―― 宇都宮市が目指している街づくりとはどのようなものですか?

佐藤 「ネットワーク型コンパクトシティ」という都市構想の下に進めています。行政機関や医療機関などを中心とするコンパクトな街をいくつも作り、それらを公共交通網でつなげれば、高齢者が若い人に負担をかけずに自力で生活できるようになる、というイメージです。

 各種補助金によって、人々がコンパクトな街の中に住まいを移してくれるように誘導し、現役世代が高齢者を支えやすい街づくりを実現していきます。子育て世代に関しては、市外から転入する若年夫婦等への家賃補助を行うと同時に、共働きをしながら安心して子育てできるよう、保育所等の整備など、子育て環境の充実に力を入れています。さらに積極的に企業などの誘致も行っています。働く場所がしっかり確保されていれば、今の子どもたちが将来、東京などに転出することなく地元で就職できます。そうすれば、市も若い世代の人口を維持することができますから。

 重要なのは、宇都宮が住む人にも、企業にも選ばれる街であることです。選ばれることで税収も上がり、様々な支援策の財源に充てられるなどの好循環が生まれるので、選ばれる魅力ある街づくりを進めていきたいと思っています。

―― 根底にあるのは子育て支援と高齢者支援を一体化させた考え方ですね。

佐藤 高齢者が健康でいてくれないと若い人も豊かに暮らすことができませんので、両者は切り離しては考えられません。若い人は安心して子育てができ、高齢者は健康寿命を延ばして、医療・介護の負担を減らしていくことが理想です。こうした考えの下、今年、宇都宮市では、市民の皆さまが健康づくりに取り組むきっかけになるよう、スマホ用アプリを活用し、歩いた歩数や自転車に乗った距離などに応じてポイントがたまる「うつのみや健康ポイント」を開始しました。ためたポイントは、バスカードや図書カード、市有施設の利用券と交換することができます。高齢者はもちろん若い世代からも大変好評をいただいています。

参加登録したあと、スマホを持ち歩くだけでポイントがたまる「うつのみや健康ポイントアプリ」。「何歩歩き、自転車に何km乗ったか」など、自分の1日の活動履歴を詳細に振り返ることができるため、高齢世代だけでなく若い世代にも人気という

―― 今回の調査において、宇都宮市は、「保育の質の維持」や「産後ケア」といった新設した調査項目も含むすべての項目で得点が高く、全方位的にしっかりと子育て支援に取り組んでいるという印象でした。どのようなお考えがベースにあるのでしょうか。

次ページから読める内容

  • 結婚から子どもの教育まで、「切れ目のない支援」目指す
  • 職員が手分けしてチラシを配布し、潜在保育士の掘り起こしを実施
  • 新幹線通勤者が多い街ならではの病児・病後児送迎サービス

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