育休延長のための保育園の“落選狙い”は実際に起こっている

 ここからは今年からの新規の設問です。保育や学童保育以外の子育て支援についても幅広く調査するため、様々な角度から自治体の取り組みについて聞きました。

 2018年度から幼稚園で2歳児の一時預かりに対して補助金が出るようになりましたが、この仕組みを活用して2歳児を受け入れている幼稚園があるかどうかを聞きました。

 この問いに「ある」と答えた自治体は11.0%。「ある」と答えた自治体に実際に実施している幼稚園の園数についても聞きましたが、まだどこも数園程度という状況でした。保育園の待機児童対策の一つとして導入された制度の一つですが、まだ活用できている自治体はほとんどないようです。

 次も最近問題となっている、育児休業延長を目的とした認可保育所の利用申し込みについてです。入園申請の際に人気の高い保育園を一園だけ申し込んで、落ちて育休が延長されることを狙う、といったものです。自治体から見て、そうした状況が実際に見られるかどうかを聞きました。

 「見られる」と回答した自治体が89.7%と、ほとんどの自治体でこうした実態があることが明らかになりました。その対策としては、「窓口でできる限りの聞き取りを行い、柔軟に対応している」「育休からの復帰が前提でないと利用申し込みできない旨を伝える」など、申し込み受付時に対処する他、「育休の期間延長に関する要件について緩和するよう国に要望を出している」などと回答した自治体も見られました。しかし、81.1%の自治体が「(具体的な対策は)ない」と回答しており、この問題に対処することの難しさが浮き彫りになりました。

 産後のママの体を休める産後ケアについても、民間サービスを活用できるように補助などをしているかなどを聞きました。

 「自治体が主体となって直接産後ケアのサービスを実施している」と回答した自治体が29.4%に上り、続いて「病院の産後ケア施設利用に補助している」という自治体が17.6%でした。

 共働き世帯の増加とともに、不妊に悩む夫婦も増えていますが、自治体として国の不妊治療費助成制度事業とは別に、独自の不妊治療助成を実施しているかについて聞きました。

 この設問に「はい」と回答した自治体は57.4%、「いいえ」は39.0%でした。制度については金額から条件まで自治体によって様々。不妊治療に取り組もうとされている方は、まずお住まいの自治体の不妊治療の助成制度についてHPなどで調べたほうがよさそうです。

 2018年3月、東京都目黒区で5歳の女児が虐待死する痛ましい事件が起こりました。2016年の改正児童福祉法では市区町村に対し、児童相談所などと連携して子どもの虐待に対応する支援拠点の整備を求めていますが、こうした支援拠点があるかどうかについて聞きました。

 結果は「ある」が54.4%と過半数を超える程度。児童虐待に対応する支援の状況は十分とは言えないのが現状のようです。出生率アップなどを目指すことも大切ですが、こうした今まさに起きている子育て環境の問題を改善することも進めていきたいものです。

(文/日経DUAL編集部 田中裕康)