子どもを保育園へ送り迎えするパパの数は、5年前に比べて確実に増えています。この特集では、出社時間に間に合うように早く家を出る努力で何とかなる「朝の送り」に比べて、残業をしないためのタイムマネジメントや職場への能動的な働きかけが求められ、家庭での夜の育児にも関わる「夕方~夜のお迎え」に着目。そこにはきっと、パパたちなりの工夫や努力、葛藤があるはず――。そんな仮説を持って、保育園に今日も現れたパパたちをつかまえ、インタビューしてみました! 残業時間削減、有休取得率、男性育休取得率…といった数字だけでは見えてこない保育園パパたちの毎日の実態をあぶり出します。

【保育園パパたちの猛ダッシュな毎日 特集】
(1) 保育園パパ4人 お迎え担当の日の工夫と時間術
(2) 毎日家族で夕食 管理職パパはトライ&エラーで前進
(3) 週3日お迎え IT大企業マネジャーパパの葛藤 ←今回はココ

状況に合わせて働き方・暮らし方を変えていく

 今回突撃インタビューをしたのは、毎朝の保育園の送りはもちろん、夜のお迎えでも遭遇率が高い慎二さん。編集部員Oとはお迎え“最後組”のお仲間でもあり、Oがいつかじっくりお話を伺いたいと思っていたパパさんです。

慎二さん(41歳)

大手IT・家電メーカー勤務
子どもは2歳の男の子と5歳の女の子。妻(多香子さん)はフルタイム正社員
保育園送りは毎日、お迎えは週3回

 保育園の送迎では、「毎朝の送り」と「火・水・金のお迎え」を担当する慎二さん。ワーク・ライフ・バランスを大事にしているのか、と思いきや、「いえ、これは夫婦ともに会社で残業するためなんです」との驚きの一言。

 夫妻は2人で働き方・暮らし方をどんどん変えていくのが特徴。0歳の長男を保育園に預けて働きだしたころは、毎日、完全なツーオペをしていたと振り返ります。「当時3歳だった娘との生活に、まだ自力でミルクも飲めない乳児が加わったことで、朝と夜の家族生活がバタバタになったんです。そこで、子ども1人に親が1人付くという、ツーオペ体制で回していました」

 裁量労働制で働いているため、時間の融通が利く慎二さんが、「僕がやるよ」と毎朝の保育園への送りと、お迎えを積極的に担当。夫婦ともに18時に会社を出て、19時には全員が家に帰ってくるスケジュールで生活することに。

 でも、息子が2歳になり、家の中で“1人で遊べる”ようになってきた2018年秋ごろ、2018年1月から新しい職場に転職してマネジャー職に就いていた多香子さんからこう切り出されます。「息子も大きくなったし、私ももう少し仕事時間を増やしたい

 「仕事時間を増やしたいのは僕も同じでした」と慎二さん。実は、慎二さんも職場でマネジャー職に就いており、2人のメンバーを指導する立場。しかも、会社からは「他のプロジェクトのリーダーも担ってほしい」と言われていました。「マーケティング職で、商品企画から販売までを、プロジェクトリーダーとして一気通貫して見るのが仕事なので、終わりがないんです。毎日18時に会社を出るために、100点を求められる仕事を60点にして何とかしのいでいた。しかも、子どもたちを寝かしつけた後、深夜まで、もしくは土日も仕事をせざるを得なかった。だから、試しに夫婦でお互いに週2日ずつ、会社で残業する日を作ることにしたんです」

 月・木を慎二さん、火・金を多香子さんの残業デーとし、その日は、お迎え・夕飯・入浴・寝かしつけは、もう片方がワンオペすることに。残業するほうは、ギリギリ終電で帰宅できるぐらいまで仕事をするというリズムに切り替えました。

<次のページからの内容>
● 仕事はやりがいある。でも100人のチームで幼児育て中男性は一人だけ
● 「趣味は子育て。以上。本当はもっと寝たい…」
● 業務改善のためのECRSを実践するのみ
● パワポ資料は作らず、生データで胸を張ってプレゼン
● 仕事や家事・育児という変幻自在なもの相手に柔軟に対応