小学校1年生からの無試験先着順の「宮本算数教室」で卒業生の80%を首都圏トップ中学校に進学させてきた宮本哲也先生。常々、私たちはなぜ学ぶのか、何のために学ぶのかを問いかけ、「幸せになるために学ぶ」ことを明言し、宮本算数教室でも常に自分で考える力を育む授業を展開してきた宮本先生に、「幸せに生きるための算数」をテーマに、変化の激しい今の世の中で、子どもたちが幸せな生き方、自分らしく生きる生き方を身に付けるために必要な力の付け方について、お話しいただく連載です。
 1回目は11月3日に巣鴨中学校・巣鴨高等学校で開催された、宮本先生の講演会「お子さんが低学年の間にやるべきこととやるべきでないこと」からポイントをまとめました。
 算数に限らず、子どもが日常生活においてもなかなか「自分で考え行動する」ことができず、困っているというご家庭も多いかもしれません。どうすれば子どものやる気を引き出し、思考力を高めることができるのでしょうか?

 私の教室には、算数が大好きで得意な子がたくさんいます。

 彼らは最初から得意だったわけではなく、好きだから得意になったのです。また彼らは自立心が強く、自分で考えることを好み、人から教わることを好みません。どうすれば子どものやる気を引き出し、思考力を高めることができるのでしょう? 今回は、そのために必要な環境についてお話しします。

低学年の間にやるべきこと[1]

没頭できる何かを見つけさせる

 低学年の間にやるべきことは、「頭をフル回転させて没頭すること」または「没頭できる何かに出合うこと」です。

 子どもが没頭することが算数であれば親は大喜びでしょうが、そうでない場合も多いでしょう。サッカー、バレエ、電車、昆虫…。それが何であれ、何かに没頭する時間は、自力で生命力を磨くかけがえのない時間です。どんなに親の趣味とかけ離れていても、親は決して邪魔してはいけません(それが犯罪でない限り)。

何かに没頭できる子は、強い人間になれる

 絵を描くのが大好きな子どもに「算数をやりなさい」と言って邪魔をするとどうなるでしょうか。心に湧き上がるもの、表現したいものがあって絵を描いているのに、何度も邪魔されるとどんどん絵を描きたいという欲求がなくなっていき、最後には無気力な人間になってしまいます。

 そんな子どもが、算数をしかたなくやらされてもできるようになるわけがないし、ましてや算数が好きになるわけもありません。子どもが没頭していることをやめさせ、勉強を強いる親がよく言うセリフがあります。「うちの子は、言わないと何もやらない」。まったくどの口が言うか、と思います。

 何かに没頭できる子は、強い人間になります。その強い力は、他の分野にも生かされます。絵を描くことにしか興味がなく、それに没頭していた子どもがもし算数に興味を持てば、必ず伸びます。それは将棋でも同じ。逆に言えば興味がないことには没頭できないし、没頭できないものをどんなに無理にやらせても、好きになることも得意になることも絶対にないのです。

次ページから読める内容

  • 睡眠をたっぷりとらせる
  • 興味がない勉強を睡眠時間を削ってまで無理やりやらせても逆効果
  • 「分かること」より「できること」を優先した計算問題
  • 「つまらない算数の問題」は、解くだけ時間の無駄
  • 一つの「分かる」にたどり着くには、たくさんの「分からない」を経験
  • かけもちで習い事をさせる…どれにも没頭できなくなる
  • こてんぱんにやっつけること…親の役割は黙って見守るか踏み台になるかだけ

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