小学校1年生からの無試験先着順の「宮本算数教室」で卒業生の80%を首都圏トップ中学校に進学させてきた宮本哲也さん。常々、私たちはなぜ学ぶのか、何のために学ぶのかを問いかけ、「幸せになるために学ぶ」ことを明言し、宮本算数教室でも常に自分で考える力を育む授業を展開してきた宮本さんに、「幸せに生きるための算数」をテーマに、変化の激しい今の世の中で、子どもたちが幸せな生き方、自分らしく生きる生き方を身に付けるために必要な力のつけ方について、お話しいただく連載です。
 3回目は、「マイナスをプラスに変える力」について。宮本さんは14歳で「今日から別の人間になる、一生後悔しない人間になる」と決意したといいます。何が宮本さんを動かしたのでしょう。そしてその決意を親御さんはどう受け入れたのでしょうか。

「見張る」と「見守る」は全く違う

 新学期が始まり、そろそろ宿題に頭を悩ませるご家庭も増えてきたかもしれません。

 最初にお伝えしておきましょう。宿題は、やらなくていいんです! ……というと教育関係者の皆さんに嫌な顔をされてしまうかもしれませんが、あくまでも、「楽しくないなら、無理にさせなくていい」という意味です。

 親御さんは、学校で課された宿題は絶対にやらせなければならないと思っているかもしれません。でもそもそもお母さんやお父さんが「宿題をしなさい!」と「見張っている」のでは、子どもが嫌がるのは当然です。勉強も宿題も、本人が学ぶことを楽しいと思い、自らやるようになるのを「見守る」のはいいのですが、決められた分をやるまで「見張る」のではやる気は起きません。大人だって、見張られた状態で仕事をするのは楽しくないですよね

 見張るのは、相手を信頼していないが故の行為です。一方、見守るというのは、相手のことを信頼しているからできることです。