大人になっても楽しくないのなら、何のために生まれ、生きているのか

 小学生の頃、私は出来のいい子どもではありませんでした。やりたいことが何もなく、一日中、家猫のように暇潰しをしていました。環境も関係していたでしょう。周りには「仕事が楽しい」とか「仕事が生きがいだ」といったことを話してくれる人が一人もおらず、「家族のために汗水流して働いている」という大人ばかりでした。もちろん働くのは大事なことですが、楽しそうに見えなかったため、「子どもの今でも楽しくないのに、大人になっても楽しくないのなら、何のために生まれ、生きているのかな」と思っていました。

 変わったのは中学に入り、本をたくさん読むようになってから。

 「世の中には全然別な人生がある。充実した、自分の人生を楽しんでいる人もいるんだ。自分は今つまらないと感じている世界から、面白い世界に行きたい。そのためには、勉強するしかない」

 それまでうじうじ生きていると思っていた私は、14歳のその瞬間、「こんな人生は嫌だ。今日から別の人間になる! 一生後悔しない人間になる!」と決意したのです。