「頭のいい子」が育つ家庭は、何が違うのか。子どもの学力や能力、才能を存分に開花させるために、親が家庭でやるべきこと、心掛けるべきことは何かを探る本連載。3人目としてご登場いただくのは髙田万由子さん。東京大学文学部卒業で、現在はイギリスに在住。イギリスの大学で薬学と脳科学を専攻している19歳の女の子と中学校に通う12歳の男の子の母親です。髙田万由子さんに話を聞いた【下編】では、子育てにおいて外遊びを最重視してきた理由や習い事に関する考え方などについて紹介します。

<髙田万由子さんインタビュー>
【上】 髙田万由子 子の得意を伸ばす絶妙アシスト
【中】 髙田万由子 新聞を子の世界広げるきっかけに
【下】 髙田万由子 外遊びで子の能動的な姿勢を育む ←今回はココ

外遊びから得られるものは無限

 髙田万由子さんが子育てにおいて心掛けてきたのは、なるべく外で遊ばせることでした。

 「私自身も、小さい頃から近所の公園や、山や海で遊んで育ちました。平日は近くの公園でずっと遊んでいましたし、日曜日は朝6時に父親にたたき起こされて、『今日は山へ行くぞ』と言われては1日中、山で過ごし、『今日は海へ行くぞ』と言われては1日中海で過ごし(笑)。1日中、庭掃除をし続ける日もありました。塾にも行かず、自然に触れながら好きなことをして過ごしていましたね。父親は家族に号令をかけて、ぐいぐい引っぱっていくタイプなのですが、その向かう先が『勉強』ではなく、すべて『外遊び』だったんです。そうした父の方針を、私も子育てをする上で、なるべく踏襲するようにしています」

 遊具が充実していない公園でもいい。逆に何もない公園ぐらいのほうが、創造力が磨かれる、と髙田さん。

 「何もなければ、木を拾って穴を掘ってもいいし、葉っぱで遊んでもいい。家でゲームをするのも子どもにとっては楽しいかもしれませんが、外に出て、太陽の光を浴び、どんな遊びをすれば楽しいかな、と自分の頭で考えることのほうが、さまざまな力が自然と身に付いていくのではと思います

 実際、高田さんは、子どもたちが小さいときから、太陽が出ている間はずっと公園にいさせようと思っていて、意識して外に連れ出していたと言います。「イギリスの冬は天気が悪いのですが、雨が降っても、雪が降っても、子どもたちは公園で夢中で遊び、『よくこんなに汚くなるなあ』と思うほど泥んこになりました。それだけ体を動かせば、体力もつくし、免疫力もつきます。ずいぶんたくましく育ったと思います。両親ともに働いていると子どもが風邪をひくと大変ですが、外遊びのおかげで風邪をひかない子になり、そういった意味でも助かっています」

 「一人で遊べるようになると、息子はボールがあれば、1日中外に出て蹴って遊ぶようになりました。親からすると『よく飽きもせず、1日中蹴っていられるなあ』と思うのですが、本当に楽しそう。ボールがなければ、おにごっこ。ルールはその場にいるみんなで考える。何もなくても楽しめるようです

「一人で遊べるようになると、息子はボールがあれば、1日中外に出て蹴って遊ぶようになりました」(髙田さん)。写真はイメージ
「一人で遊べるようになると、息子はボールがあれば、1日中外に出て蹴って遊ぶようになりました」(髙田さん)。写真はイメージ