「頭のいい子」が育つ家庭は、何が違うのか。子どもの学力や能力、才能を存分に開花させるために、親が家庭でやるべきこと、心がけるべきことは何かを探る連載。高学歴芸人のロザンさんにご登場いただいた第一弾に続き、第二弾でご登場いただくのは、「全米最優秀女子高生」を育てた日本人母で、アート業界でキャリアを築いていたワーキングマザーでもあるボーク重子さんです。自身の子ども時代に受けた詰め込み型教育を反面教師に、家庭では、ひたすら非認知能力を育むための取り組みを続けてきたというボークさん。どんな考え方でどんな工夫をしてきたのか、じっくりお話を伺いました。3回に分けてお届けします。上編である今回は、ボークさんが子育てにおいて特に心がけてきた5つのポイントを紹介します。

<ボーク重子さんインタビュー>
(上) 「全米最優秀女子」母 非認知能力を家庭で育む術 ←今回はココ
(中) 働く母だからこそ子に伝えられることがある
(下) ボーク重子 非認知能力伸ばす習い事との向き合い方

「私は勉強をしていないだけ。やればできるのよ」

 米国で毎年行われている大学奨学金コンクール、「The Distinguished Young Women of America(全米最優秀女子高生)」で、2017年の最優秀賞に選ばれたのが、ボーク重子さんのひとり娘、スカイ・ボークさんです。この賞は米国在住の女子高校生(3年生)が対象で、知力やコミュニケーション力、特技、体力、自己表現力などを競うもの。スカイさんは、「大学の授業料が高額だから、家族の一員として何か自分にできることはないか」という思いで応募をしたといいます。アジア系が優勝するというのも、非常に珍しいことだそうです。また日本人では初めての優勝でした。

 スカイさんは、現在は米国ニューヨーク市に本部を置く私立の名門、コロンビア大学に在学中。幼いころから習ってきたバレエも続けています。バレエも、プロからも声がかかるほどの実力といいます。

ボークさんの娘、スカイさんは大学奨学金コンクール「The Distinguished Young Women of America(全米最優秀女子高生)」で2017年の最優秀賞に選ばれた(左2枚)。子どものころから続けているバレエでも、プロから声がかかるほどの実力を持つ(右)。中央写真右からボークさん、スカイさん、ボークさんの夫

 そんなスーパー女子を育て上げたボークさん。いったいどのような考え方で、どのように子育てをしてきたのでしょうか。

 ボークさんは、「従来型の詰め込み型英才教育を行う厳しい教育ママと思われがちなのですが、実は、一度も娘に『勉強しなさい』『宿題をしなさい』と言ったことがない」と言います。

 「『勉強しなさい』、と言わない方針を貫いてきたのは、私自身が、詰め込み型教育の負の面を感じていたからです。実は、私は若い頃、指示に従うばかりで自分で考えようとせず、やりたいことも分からなかった。自己肯定感が非常に低く、暗黒の20代を過ごしました。娘には私のようにはなってほしくないと子育て法を模索してきたのです」。

 中学生まで、ボークさんは非常に優秀で、出身地である福島県で5位の成績を取ったこともあったといいます。「1970年代の高度成長期で、親からは『勉強だけしていればいい』と言われて育ちました。点数がよければいい高校に行き、いい大学、いい会社に進んで、人生の幸せが続くと思っていた。中学1年生までは非常にいい成績だったのですが、中2から数学が少し難しいと感じるようになり、ある日成績が下がりました。これではみんなから頭がいいと言われなくなってしまうと思った私は、『勉強しない』という選択をしました。『私は勉強をしていないだけ。やればできるのよ』という理屈で、自分の心を守ったのです

 好きだった音楽や演劇は「勉強の邪魔になる」と親から言われて排除されていたため、無気力状態に。「周囲から、高校は県で一番の進学校に行けると言われていたのに到底無理で、大学受験のときでさえまともに勉強せず、そのまま暗黒の20代を過ごしました」

 20代後半のときに、当時付き合っていた米国人男性に突然フラれてしまったそう。「『結婚したらどう生きる?』と彼から聞かれて、『あなたのお世話を一生して一緒に歳をとります』と伝えたら、『僕はそれだけの人はいらない』と去っていってしまったんです。これも、私の自己肯定感の低さと自分の意思のなさが原因でした。当時、私は外資系企業に勤めていて、お金だけはたまっていた。結婚がダメになり、思い描いていた未来が崩れた今、いつかやってみたいと思っていた美術の世界に飛び込むことを決意し、英国に留学して修士号を取りました。そのときに、今の夫に出会ったんです」

 結婚、そして出産。妻や母としての結婚生活は幸せでしたが、自分自身の人生と子育てについては非常に悩んでいました。

 「娘に、私のように自己肯定感が低い子にはなってほしくない、やりたいことも分からず、見つかっても勇気がなくて一歩が踏み出せない、そんな自信のなさで暗黒の時代を送ってほしくないという思いに駆られました。自信を持って自分らしい人生を生きていってもらうために、娘に合った教育法を探そうと調べた結果、非認知能力に重点を置いている学校に出合いました」

次ページから読める内容

  • 小学校3年生まで、教科書も宿題もなし
  • 子どもの裁量に任せるために、ルールを設ける
  • あえて反対意見を口にして、議論する

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