必要に応じて周囲の助けを借りながら、現在のライフスタイルにちょうどよい働き方の実現に向けて行動している「DUAL夫婦2.0世代」は、夫婦関係が良好だからこそ、夫婦で働き方についてしっかり話し合い、柔軟に転職をしている人が多いように見えます。でももちろん、軽やかに見える2.0世代にも、葛藤はあるのです。
 産育休から復帰した後に、バリバリと働いてリーダーや管理職になっていく凄腕ママ(パパ)ばかりではない。あえて「キャリアダウン」して次の道を模索し、新しい目標を見つけて頑張っているママ(パパ)だってたくさんいる。そんな2.0世代のリアルな転職事情を聞いていきます。

【今回の2.0世代転職ママ】小澤美穂さん(仮名)

年齢:34歳
夫 :38歳
子どもの年齢:長女小学2年、長男年長
転職前の業種・職種:ブライダル関連のスタイリスト(正社員)
転職のために得た資格:簿記3級
転職後の業種・職種:大手食品会社で経理事務(派遣社員)
住まい:東京都
実家の協力:アリ。ただしあまり力を借りてはいけないと思っている

●私が仕事・働き方を変えた理由●

転職決意のきっかけ:平日の完全ワンオペ状態で過労状態。第2子のぜん息。
業種・職種を変えた理由:家族の休日がそろわない。年齢に左右されやすい職種。
5年後の目標:正社員として責務ある仕事に就きたい。

人の幸せに関わる仕事、やりがいがあり大好きだった

 新卒で就職したのはブライダルの会社。そこでスタイリストになりました。大学卒業後、産休、育休2回ずつ挟んでトータルで10年ちょっと。もともと接客の仕事がしたくて、就職活動はブライダル、ホテル、航空会社で考え、中でもブライダルは人の幸せに関われる、一生に一度の大切なときに関われることに惹かれたんですね。

 ホテルの衣装室でのスタイリストから始めて、ウェディングの専門の式場の衣装室などでスタイリストを務めましたが、新婚旅行から帰ってきてお土産を持ってきてくださる方がいたり、ホテルでは結婚記念日に食事をしに来た方が会いに来てくださったり、すごく信頼してくださって、今も付き合いがある方もいます。環境的に恵まれていたのかもしれませんが、家族が一つになる手伝いができる喜びは大きかったと思います。

 だから、仕事は本当に大好きでした。

土日休めない=家族がすれ違うことへの不安と疲れ

 夫は大学の先輩で、学生のころから付き合いはじめ、私が24歳のときには結婚。夫は大手保険会社で入社直後から忙しく、平日の帰りは午前様が当たり前。一方、結婚式は土日に行われることが大半なので、週末も出勤になる私とは、完全にすれ違いになるように。

 長女を出産した後は、それでもまだ、ブライダルの仕事を続けられると思っていたんです。でも、2歳違いの長男が生まれてから、生活が立ち行かなくなってきた。家族がすれ違いになって、4人そろうことが少なかったんです。

 体力的にも厳しかった。ブライダルの仕事は日中、ほとんど座れず立ちっぱなし。家に帰ると立てなくなるくらいボロボロになってしまって、子どもたちがおなかをすかせているのに、何もできなくなってしまって。

 ある日、夕方ぐったりしているときに、抱っこをせがむ2歳の長男に4歳の長女が「ママは疲れてるから、だめだよ」とたしなめているのを見て、ああ、子どもたちにこんな思いをさせているのは、ちょっとだめだなと思い始めました。

「ママは疲れてるから、だめだよ」という娘の言葉に、転職を考えるように(写真はイメージ)
「ママは疲れてるから、だめだよ」という娘の言葉に、転職を考えるように(写真はイメージ)